2021 Fiscal Year Annual Research Report
Novel diagnostic and therapeutic strategies for ovarian cancer by investigation of cancer and host diversity
Project/Area Number |
21H03076
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80283597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱西 潤三 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80378736)
山口 建 京都大学, 医学研究科, 講師 (20378772)
山ノ井 康二 京都大学, 医学研究科, 助教 (70868075)
滝 真奈 京都大学, 医学研究科, 助教 (20898077)
河本 宏 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (00343228)
奥野 恭史 京都大学, 医学研究科, 教授 (20283666)
安彦 郁 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究員 (20508246)
茶本 健司 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (50447041)
村上 隆介 滋賀県立総合病院(研究所), その他部局等, 医長 (40782363)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 婦人科がん / 免疫ゲノミクス / 卵巣癌 / 子宮体癌 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、婦人科癌の進展や治療経過における腫瘍局所でのがん免疫状態やがん免疫抑制機構の変化を経時的かつ統合的に解析し、新規治療に資する知見を得ることを目標としており、これまでに化学療法を行った症例に対して生検・手術病理組織のDNA解析(エクソーム解析)およびRNA解析(RNAシークエンシング)を行ない、治療効果、薬剤感受性、予後などの臨床情報との関連を調べた。特にパクリタキセルやカルボプラチンなどの薬剤感受性にかかわる遺伝子や遺伝子シグネチャー、長期無増悪生存している症例の因子なども同時に抽出した結果、サイトカインシグナルやT細胞関連遺伝子や遺伝子シグネチャー(GEP)が有意に薬剤感受性や患者の予後に関連していることを見出した。一方で(抗がん剤)薬剤抵抗性に関わる遺伝子発現と免疫関連遺伝子とは相関関係にはなく独立していることがわかった。さらに同種同系マウス卵巣癌, 子宮体癌モデルを用いて、化学療法投与前後の免疫状態の変化について腫瘍組織および腫瘍浸潤免疫細胞(TIL)解析をおこなったところ、ヒト腫瘍同様に、T細胞や樹状細胞などの免疫細胞浸潤が有意に高くなることが分かった。一方でマウス末梢血解析では現時点で白血球分画の低下以外は有意な変化を認めておらず、さらに詳細な分画に絞って再検討を行っている。またヒト腫瘍サンプルと超免疫不全マウスを用いて、同様の免疫変化を検証し、さらに治療実験(併用療法)による新規治療開発の基礎的検討も行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、婦人科がん(卵巣癌、子宮体癌)の標準治療(化学療法)を行った症例に対して、病理組織別に(卵巣:漿液性癌と明細胞癌、子宮体癌:類内膜癌と漿液性癌)腫瘍組織のDNAおよびRNAを抽出し全エクソーム解析およびRNAシークエンシングを行ない、治療効果、薬剤感受性、生存解析(OS,PFS)などの臨床情報との関連を調べた。特に標準治療に対する薬剤抵抗性にかかわる特定の遺伝子や遺伝子シグネチャーやさらに免疫サイトカインシグナル(IFN関連、TGF-β、IL-2など)やT細胞免疫(CD8A、CD3、GLZAなど)、抗原提示シグネチャーなどが有意に患者の生命予後に関連していることを見出し婦人科がんにおける免疫活性状態の有用性を確認した。さらに抗がん剤治療前後に腫瘍組織が入手できた発現アレイデーターの解析の結果、概ね標準治療後にCD8T細胞やインターフェロンγに関連する遺伝子発現が増加しており、標準治療後に腫瘍局所で免疫環境が大きく変化することが判明した。一方で(抗がん剤)薬剤抵抗性に関わる因子については直接的には免疫関連遺伝子と相関することはなかった。 さらに同種同系マウス卵巣癌, 子宮体癌モデルを用いて、化学療法投与前後の免疫状態の変化について腫瘍組織の免疫組織染色および腫瘍浸潤免疫細胞のフローサイトメトリー解析にて、ヒト腫瘍同様にT細胞や樹状細胞などの免疫細胞浸潤が有意に高くなる(集積する)ことが分かった。 またこれまでに、治療に伴う(あるいは再発経過に伴う)免疫状態の経時的変化を探索する目的で採血検体も集積し始めており、また治療法として免疫チェックポイント阻害薬を用いた患者の検体も集積しつつあり、検体解析および検体収集ともに概ね順調な研究ペースト考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1本年度から次年度にかけて、臨床検体・臨床情報収集とオミックス解析として、腫瘍、免疫細胞を用いたゲノム多様性の解析 当科および関連15施設から、標準治療を行った進行・再発卵巣癌患者の腫瘍および血液検体(末梢血単核球成分を収集し、そ れぞれのオミックス解析(ゲノム、RNAシークエンス、T/B細胞レパトア解析、サイトカインアレイ、免疫細胞分画解析)を行い、治療効果や長 期予後に関連する因子を抽出する。この際に3次元培養やPDXによるがん細胞保存を作成し、後にするを作成し冷凍保存しておく。さらに、細菌叢ゲノム多様性解析による治療効果、予後に関わる因子の探索(卵巣癌患者検体として、標準治療の前後で便および腟/子宮内の分泌物をそれぞれ採取し、ショットガンメタゲノム解析を行うことにより 、菌叢の組成だけでなく、菌叢のもつ生理機能を推定し、治療効果や長期予後に相関する因子を抽出する。特に代謝や免疫に関わる遺伝子が抽 出された場合、代謝産物(メタボライト)の解析を行う。
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