2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an effective exercise program for disease prevention and improvement based on the "chrono-exercise".
Project/Area Number |
21H03337
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
道下 竜馬 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10632028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
川上 翔太郎 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (30881304)
上原 吉就 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70373149)
川中 健太郎 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (80339960)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 時間運動学 / 概日リズム / 時計遺伝子 / クロノタイプ / 運動処方 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに運動で活動的に過ごすことは,食行動や睡眠の質を改善させ,体内時計の恒常性に良い効果をもたらすことが動物実験の結果より明らかにされている。しかし,運動と体内時計に関する研究のほとんどが動物実験での検証であり,ヒトを対象に体内時計の前進を誘導させるのに有効な運動条件については明らかにされていない。当該年度は,心血管機能とりわけ24時間自由行動下の血圧変動や自律神経機能を変化させるのに最適な運動のタイミングを明らかにすることを目的とした。 健常な成人男性8名を対象に,2泊3日の滞在型の無作為化比較試験を実施した。本研究では,運動実施時間の異なる以下の4条件を実施した;1)8時から運動(朝運動条件),2)12時から運動(昼運動条件),3)17時から運動(夜運動条件),4)コントロール条件(運動未実施)。運動は全ての条件において,自転車エルゴメータを使用した乳酸域値強度とし,運動時間はいずれも60分とした。24時間自由行動下血圧は,試験日の8時より試験翌日の8時まで15分毎に測定した。自律神経機能は,携帯型心拍計を用いて試験日の8時より試験翌日の8時まで連続して計測した。24時間の心拍のゆらぎから,高周波成分(HF)を副交感神経活動の指標として,低周波成分とHF成分の比を交感神経活動の指標として用いた。 4条件間における24時間自由行動下血圧変動と自律神経機能の差異について検討した結果,24時間の平均収縮期血圧では,朝運動条件は昼・夜運動条件に比べて有意に低値を示した。睡眠時の平均収縮期血圧においても朝運動条件は昼・夜運動条件に比べて有意に低値を示した。また,睡眠時の平均HF成分では,朝運動条件は夜運動条件に比べて有意に高値を示した。 本研究の結果より,朝の運動実施は24時間ならびに睡眠時の収縮期血圧の低下に有効であり,睡眠時の副交感神経の活性を促進させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に新型コロナウイルス感染拡大に伴い,感染対策や対象者の募集が困難となったため本研究の開始が大幅に遅れた。しかし,2022年度以降は計画どおり研究を遂行できており,2024年度の準備も概ね順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は2023年度に引き続き,ヒトを対象に異なる運動強度と持続時間の違いが時計遺伝子の発現に及ぼす影響について検討する。研究デザイン:若年健常者10名を対象に,自転車エルゴメータを用いて乳酸域値(LT)強度による30分間の持続運動と,同一強度で総運動時間が同じになるように調整した間欠式運動(1回あたり3分×10回),総消費エネルギー量が同じになるよう運動回数を調整した高強度の短時間間欠式運動(OBLA強度;最大酸素摂取量の約75~80%強度)を行い,異なる運動強度による時計遺伝子(Clock,Bmal1,Per,Cry)の発現効果を検証する。コントロール(運動未実施)条件を含めた4条件を無作為に実施し,異なる運動強度と持続時間の違いが時計遺伝子の発現に及ぼす影響を検討する。 2024年度は,運動実施のタイミングに加えて運動様式の違い(水中運動と陸上運動)についても着目し,運動様式と運動実施のタイミングの違いが概日リズムに及ぼす影響についても検討する。研究デザイン:若年健常者10名を対象に,水中運動と陸上運動の運動実施時間の異なる以下の4条件を実施する;1)午前中の水中運動,2)午前中の陸上運動,3)午後の水中運動,4)午後の陸上運動。水中運動は水中トレッドミル,陸上運動はトレッドミルを使用し,いずれの条件も30分間のLT強度での運動とする。いずれの条件も運動開始前と運動終了15分後,60分後に血管内皮機能検査と大動脈スティフネス,中心血圧測定を実施し,運動開始前から運動終了60分後まで連続して自律神経機能を測定する。本研究を遂行することで,運動様式と運動実施のタイミングの違いが心血管機能におよぼす効果を明らかにする。
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