2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of nuclear DNA markers and long-read sequencing methods for environmental DNA
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21H03654
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
内井 喜美子 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (90469619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見坂 武彦 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (80397661)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環境DNA / 核DNAマーカー / 長鎖塩基配列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境DNA研究において検出対象を種から種内変異へと拡張する動きが近年活発となりつつある。しかし、現在、環境DNA分析の主流マーカーとなっているミトコンドリアDNAは母性遺伝をするため、個体群の遺伝構造・遺伝的多様性を正しく評価できない可能性がある。そして超並列シーケンサーによる数百塩基対という短いDNA配列の解析では、遺伝変異に乏しい種や集団の種内多型の検出が困難となると予想される。そこで本研究では、種内変異を評価する手法としての環境DNA分析の機能拡張を見据え、核リボソームRNA遺伝子をマーカーとして用いた個体群遺伝構造・遺伝的多様性解析法の確立と、一分子シーケンサーであるナノポアシーケンサーを用いた長鎖塩基配列解析法の確立を行うことを目的とした。本年度は、種内変異解析のモデルとして用いるコイ(Cyprinus carpio)を中心とし、琵琶湖に生息するコイ科魚類の核rRNA遺伝子の18S rRNAから28S rRNAにまたがる領域のリファレンス配列の取得を進め、現在までに100以上の配列情報を得た。さらにこれらのリファレンス配列を元に、種内変異や近縁種の判別に適したマーカーの探索を行い、マーカー候補を選定した。同時に、ナノポアシーケンサーMinIONを用いた長鎖塩基配列解析の精度の検証を行い、ベースコールの精度を上げることにより塩基配列の読み取りエラー率を抑制できるが、同一塩基が連続する配列の正確な読み取りは困難であることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、生物量の多いコイをモデルとし、種内変異解析に適した核マーカー探索を行った。マーカー候補として、反復配列を形成する核rRNA遺伝子に着目し、琵琶湖で捕獲したコイおよび近縁種について、すでに100個以上のリファレンス配列を取得した。これらのリファレンス配列をもとに、種内変異検出や近縁種判別に適したマーカー探索を進め、その候補を見出した。またナノポアシーケンサーMinIONの塩基配列解析精度の検証においては、高精度のべースコールを行えば塩基配列の読み取りエラー率を抑制できることを明らかとした。一方、同一塩基が連続する配列における塩基数の読み取りエラーの改善は困難であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に取得したコイ科魚類を中心とした核rRNA遺伝子のリファレンス配列を元に、まずはコイの種内多型を含む数百塩基対の領域を対象とし、超並列シーケンスを用いた種内変異解析法の開発を進める。また、ナノポアシーケンサーMinIONによる長鎖塩基配列解析においては、2022年より新たに利用可能となった、エラー率が大幅に改善される試薬を導入し、塩基配列解析精度のさらなる向上を目指す。また本年度は適任者不在のため研究員の雇用を断念したが、次年度からは研究員の雇用を予定しており、研究の着実な推進が期待される。
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Research Products
(2 results)