2022 Fiscal Year Annual Research Report
Pre-emptive life-cycle design and optimization for resource recycling by constructing superstructure
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21H03660
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 康紀 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 准教授 (70545649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
醍醐 市朗 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20396774)
村上 進亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40414388)
所 千晴 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90386615)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ライフサイクルアセスメント(LCA) / マテリアルフロー分析 / 金属資源リサイクル / 蓄電池 / 太陽光パネル |
Outline of Annual Research Achievements |
再エネ主力化に必須のエネルギー機器として蓋然性の高い太陽電池、蓄電池に関しては、社会的ニーズも高まり、リサイクル技術の開発と実装が進められている。特に蓄電池についてはグリーンイノベーション基金をはじめとし、新規なリサイクル技術の開発が進められるようになった。一方で、技術の評価項目としてコストに加え、温室効果ガス(GHG)排出量に傾倒した環境影響評価が求めらている実態を受け、本研究課題により構築を進めているスーパーストラクチャを用いた先制的ライフサイクル設計の必要性を再確認しつつ、研究を推進した。研究課題ごとに以下に記載する。 A)再エネ主力化のためのエネルギー技術における金属資源Criticalityの解析:蓄電池、太陽光パネルに関し、基幹部品(太陽電池セル、正極/負極、触媒など)に含まれる金属資源に関し、マテリアルフロー分析を応用し、将来の必要量を算定するモデルを開発した。特に蓄電池については正極活物質の化学組成の変化が、太陽光パネルについてはペロブスカイト型太陽電池の普及速度が、金属資源の需要に大きく影響することがわかった。 B)資源循環のためのリサイクル技術の体系的整理と数理モデル化:ライフサイクルモデルとして、既往の蓄電池・太陽光パネルのリサイクルプロセスを含めたフロー図を作成した。それぞれについては論文発表・学会発表を経て精度を高めた。 C)リサイクルシステムのスーパーストラクチャ構築と最適化手法の開発:B)で開発したライフサイクルモデルをスーパーストラクチャとして構築し、プロトタイピングを行った。 D)スーパーストラクチャを用いた資源循環最適化に基づく先制的ライフサイクル設計手法の開発:C)で開発したプロトタイプを用いて、GHGに限らない、金属資源の循環やその他の環境影響に関する指標を定量化できるよう、機構を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度開始直後は、新型コロナウィルス感染拡大による影響が残っていたため、工場等の現場調査や海外研究者らとの討議の機会が限定的であった。一方、NEDOグリーンイノベーション基金における次世代蓄電池開発やリサイクル技術開発をはじめとする、府省事業が多く展開されることとなり、一部の事業においては採択審査委員を拝命するなど、産業界とのネットワークを新たに構築することに成功した。これにより、最新技術を有する関係者らとの意見交換等が可能となり、新型コロナウィルス感染拡大による機会損失の影響をリカバリすることに成功した。 2022年度後半は徐々に新型コロナウィルス感染に関する社会的な状況が変化し、現場調査や海外研究者らとの意見交換が可能となった。これを機に、これまで蓄積してきた蓄電池・太陽光パネルに関するLCAやマテリアルフロー分析に関する研究成果を基に多様な研究者や企業との共同研究を展開し、資源循環のためのライフサイクル設計に関する研究を推進できるようになった。 上記の状況から、当初の計画に沿っておおむね順調に進展させることができるようになったと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
カーボンニュートラルへ向かう社会において、蓄電池・太陽光パネルにまつわる資源循環の社会ニーズは高まる一方となっている。引き続きスーパーストラクチャの構築とライフサイクル設計手法の開発を進め、ネットワークを創ることができた企業や関連研究者らとの研究討議を実施する。また、欧州における状況を調査するため、国際会議等に参加し、産業エコロジー、ライフサイクルマネジメント、Computer-aided process engineeringの観点から、国際的に最新の研究動向を把握しつつ、研究成果の発表を行う。 ライフサイクルモデル・スーパーストラクチャについては、数理モデル化を進める。このとき、ライフサイクルGHG排出量以外の指標についても算定できるようにし、資源循環に関するケーススタディと蓄電池に関して実施する。特に正極活物質の化学組成が変化しながら、昨今の自動車電化の流れに沿った金属資源のマテリアルフローを分析しつつ、新規な物理選別法(電気パルスや焙焼)と化学処理法(新規湿式製錬)による効果の可視化を試みる。
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Research Products
(27 results)