2021 Fiscal Year Annual Research Report
旧ユーゴスラヴィア地域における民族を超えた文化の学際的研究:紛争後30年を経て
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21H03710
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
鈴木 健太 神田外語大学, グローバル・リベラルアーツ学部, 講師 (00749062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 彩子 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (90513169)
ボシティアン ベルタラニチュ 城西大学, 現代政策学部, 准教授 (80752120)
長 有紀枝 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 教授 (10552432)
上畑 史 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 機関研究員 (60827864)
門間 卓也 関西学院大学, 文学部, 研究員 (90868291)
柴 宜弘 城西国際大学, 国際アドミニストレーション研究科, 特任教授 (50187390) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ユーゴスラヴィア / 民族 / 文化 / 地域 / トランスナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる本年度は、主として、具体的検討課題(A)「ユーゴスラヴィア黎明期(19世紀~20世紀戦間期)および同(B)「社会主義ユーゴスラヴィア期(第二次世界大戦~1991年)」に取り組んだ。いずれも、本研究課題の中核となる具体的検討課題(C)「ポスト・ユーゴスラヴィア期(1991年~現在)」の前提となる基礎的作業であり、研究組織全体で進めた。具体的には、19世紀以来の南スラヴ主義、20世紀における2回のユーゴスラヴィア国家の経験を中心に、1990年代までの当該地域における民族を超えた諸関係とその変遷の基本的把握を行うとともに(柴の単著「新版」、鈴木の単著、門間の東欧史研報告など)、関連する最近の研究動向を共有した。その際、遺著となった柴の成果を読み解く試みも活用した(ウェビナー「柴宜弘著『ユーゴスラヴィア現代史 新版』を読む」)。 また同時に、具体的検討課題(C)について、2年次以降に本格化する作業を見据え、各自がそれぞれの学問分野に基づく個別研究の準備や予備的調査を行った(門間の国際学会報告・シンポジウム報告など)。 以上にあたっては、主に遠隔手段を用いて毎月1回研究会合を開き、研究報告に基づく研究会ないし研究打ち合わせを実施した。前者の内容は以下の通り。5月:柴「『ユーゴスラヴィア現代史 新版』について」、7月:鈴木「近年のユーゴスラヴィア研究の概観と特徴」、8月:門間「社会主義ユーゴスラヴィアにおけるグローバル化する反ファシスト運動」、11月:長「映画『アイダよ、何処へ?』とスレブレニツァの記憶」、2月:百瀬「1980年代前半におけるセルビア人移住をめぐる議論」。これらの報告、およびそれ以外の月に開催した研究打ち合わせを通して、情報と意見の交換を重ね、研究課題の理論的な枠組みも整えつつ、次年度以降の方針を話し合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、遠隔手段を活かして定期的な研究会合を実施し、研究組織内の意見交換や意思疎通を密に行いながら、共同研究を着手することができた。具体的検討課題(A)および(B)に関しても、次年度以降に向けた基盤づくりとして、1990年代までの民族を超えた諸関係についての把握と確認を進めることができた。柴の突然の他界は、研究組織内にとって計り知れない意味をもったが、残された単著「新版」を通して、紛争後の時代も含め、民族別ではなく共通の経験をもったユーゴスラヴィア地域として捉え直す視点を再考し、共通理解を育むことができたことは、今後個別研究が本格化する研究課題全体にとって強固な土台となるはずである。
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Strategy for Future Research Activity |
次の2年次以降では、今年度の具体的検討課題(A)および(B)の成果を踏まえ、具体的検討課題(C)における個別研究を本格的に進め、研究課題全体を前進させていく。 その際、新型コロナウイルスをめぐる状況を見つつ、情勢に応じて、現地での調査・資料収集を活用する。また本年度のような定期的な研究会合を継続し、個別研究の報告とともに、相互の議論や情報交換を重ね、個々の研究の連関および統合に向けた考察にも着手していく。
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Research Products
(8 results)