2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on deterioration and conservation of nature-based cultural properties as potential educational and tourism resources
Project/Area Number |
21H03726
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴崎 茂光 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90345190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島立 理子 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00332354)
寺崎 竜雄 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光地域研究部、観光文化情報センター), 観光地域研究部, 部長 (30728316)
寺田 喜朗 大正大学, 文学部, 教授 (40459839)
古田 尚也 大正大学, 地域構想研究所, 教授 (40727856)
西村 貴裕 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70367861)
八巻 一成 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353895)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 資源化 / 聖地 / 価値の単純化 / nature-based solutions / 保護地域 / 国立公園 / 世界遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
菱田コレクション(千葉県立中央博物館蔵に所蔵)に関する資料調査を実施し、成果の一部を、日本森林学会などで報告した。絵葉書資料を定性的に分析した結果、(後述する寺社仏閣などの聖地を除く)山村・離島を対象とした絵葉書が少数とはいえ確認できた。第二次世界大戦以前の資料に関しては、山村・離島の日常生活を描いた資料、とりわけ女性や植民地の先住民族の暮らしに焦点をあてる絵葉書が多く確認された。近代化が進む山村・離島の姿を映す構図も採用されていた。しかし現代に近づくにつれて、自然景観中心の写真が中心となる状況が確認できた。こうした変化の要因として、山村・離島の生活の近代化に伴う外部(消費者)の関心の低下や、原生的な空間を希求する環境意識の高まりが一因として考えられた。このほかに聖地に関する絵葉書の分析より、観光資源化の為の施設整備(交通機関の整備、巡礼追体験のための施設整備など)が進められ、聖地として発展する過程が、宗吾参道などの事例から確認できた。 また、富士山麓地域などでのフィールド共同調査も実施した。富士山地域では世界文化遺産登録を契機に、浅間(せんげん)信仰に対する観光資源化が進むことが確認できたが、地域住民が浅間(あさま)と呼んできた場所が、浅間(せんげん)と呼ばれる状況が確認できた。この他にも、里の浅間神社などは来訪客で栄えているものの、富士講登拝でかつては栄えた参道や参道沿いに分社された社や宿坊の荒廃を確認することができた。このほかに、女人禁制時代にも登拝が許され栄えた、女人天上などについては資源化が進んでいなかった。こうした状況は、世界遺産登録などの外部要因によって、いわば価値の単純化の現象がもたらした状況と解釈できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の蔓延により、資料調査やフィールド調査が必ずしも十分行うことができなかったが、その中で出来る限りの調査を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究を深化させる形で、より事例を意識した調査スタンスを継続することになる。 新型コロナ感染症の制約が続くが、可能であれば海外調査(予備調査)などを進めていきたい。海外調査がどうしても困難な場合には、国内調査により重点を置くなどの対応を取っていきたい。
|
Research Products
(9 results)