2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Ethics of Life Manipulation: the Right of Autonomy in Life and Death
Project/Area Number |
22H00603
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
田坂 さつき 立正大学, 文学部, 教授 (70308336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽入 佐和子 帝京大学, 先端総合研究機構, 特任教授 (00126351)
島薗 進 大正大学, 地域構想研究所, 客員教授 (20143620)
芦名 定道 関西学院大学, 神学部, 教授 (20201890)
一ノ瀬 正樹 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20232407)
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
柳原 良江 東京電機大学, 理工学部, 教授 (30401615)
香川 知晶 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (70224342)
土井 健司 関西学院大学, 神学部, 教授 (70242998)
安藤 泰至 鳥取大学, 医学部, 准教授 (70283992)
松原 洋子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (80303006)
加藤 泰史 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90183780)
小島 優子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (90748576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 安楽死 / 自己決定権 / 人間の尊厳 / 反延命主義 / 無益な治療 / ACP / 優生思想 / 尊厳死 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究成果としては、5月に共著本『コロナ禍とトリアージを問うー社会が命を選別するということ』青土社から出版した。 今年度は、安楽死・尊厳死ー死へ破棄される命の選別をテーマに研究会を5回(6月、8月、10月、12月、1月)に開催し、安楽死に関する国内外の諸見解を検討した。 5月には、それまでのトリアージの倫理問題と安楽死の問題を検討した結果を外部に発信するために、九州大学で開催された日本哲学会の公募シンポジウムにて、「コロナ禍のトリアージと安楽死の問題―いのちの選別と無益な治療論」というテーマで研究代表者がオーガナイズし、研究分担者(安藤泰至、島薗進、土井健司)が登壇した。 さらに研究代表者が本務校立正大学で、研究テーマに関連した研究分担者らの共著本『反延命主義の時代ー安楽死・透析中止・トリアージ ー』(現代書館)『見捨てられる〈いのち〉を考える』(晶文社)を文学部哲学科の演習の教科書に指定し、研究分担者安藤泰至・島薗進の執筆章を講読する日に、研究分担者をゲスト講師として招聘し、学生のレポートや質問に答える授業を実施した。研究分担者以外の執筆者も招聘し、ALS患者支援者や重度の障害を持つ子の親などからも話を聞く機会を得た。また、遺伝子改変に伴う人間改造に関する倫理を問う邦訳の書籍、マッティ・ハユリュ『人間〈改良〉の倫理学―合理性と遺伝的難問』(ナカニシヤ出版 2020)を大学院文学研究科の授業で教科書に選定し、その訳者をゲスト講師に招聘した。さらに「臨床哲学」という講義では、ALS患者や重度障害者福祉施設施設長をゲスト講師に招き「体験学習」は福祉施設で臨床哲学実習を行い、ALS患者宅を訪問し臨床哲学対話を行った。これらの目的は、将来生命操作技術が進展した時に当事者となる若者世代(学生・院生)が当該の問題を考える機会を提供し、研究の一環として対話を行うことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のトリアージのを生命操作として問題提起する共著本を編み、時宜を得た議論を提供することができた。その後安楽死と尊厳死をテーマに国内の安楽死の議論を学ぶ研究会を重ね、学会でのワークショップとシンポジウムを実施し、学会員と議論することができた。 研究代表者田坂さつきと研究分担者安藤泰至がオーガナイズした日本生命倫理学会のシンポジウムでは、そのテーマ「安楽死問題における<当事者>は誰か」が本研究で明らかにしたい問題を明示したものなので、このシンポジウムでの議論を深めた内容で完成年度に出版する共著本を編む計画を立て、執筆依頼をしている。 この問題はACPの制度化に伴い、一般市民が直接関わる問題でもあるので、市民に問題を投げかけて対話することも重要である。授業を活用して、研究分担者が学生・院生と対話する機会を創出し、さらに次年度に向けて、75歳になると安楽死が選択できる制度がある未来社会を描く「PLAN75」に注目し、立命館大学で実施された上映会とトークイベントに参加し、立正大学でのシネマカフェの開催を検討した。また、功利主義による安楽死正当化について、オックスフォード大学のウィルキンソン教授招聘研究会をする計画を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もこれまで同様、年5回程度の研究会を開催し、安楽死の倫理的問題に関する研究分担者が執筆した共著書を教科書にする哲学演習を実施する。イベントとしては、参加者200名程度の規模で、早川千絵監督「PLAN75」を上映しその後シネマカフェを実施する。そこで、参加者の安楽死に関する見解を調査し、その結果も含めて、年度末に安楽死に関するシンポジウムを開催する。また、英国のオックスフォード大学からドミニク・ウィルキンソン教授を招聘し、安楽死と道徳的義務との関係について講演会を札幌、東京と京都で実施する予定である。講演原稿を邦訳し、最終年度の共著本への寄稿依頼も検討する。 最終年度にも年5回程度の研究会を開催し、研究成果として出版する共著本の原稿の検討を行い、年度末には出版する予定である。その折に、出版記念シンポジウムを開催することも検討している。
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Research Products
(54 results)