2022 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア及び東南アジアにおける木彫像の樹種と用材観に関する調査研究
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22H00619
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
岩佐 光晴 成城大学, 文芸学部, 教授 (10151713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 正人 成城大学, 文芸学部, 教授 (00257205)
能城 修一 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (30343792)
安部 久 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80343812)
西木 政統 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (90740499)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 木彫像 / 天野社伝来の仮面 / 金春宗家伝来の能面 / 村松山虚空蔵堂 / 小河内神社 / 報告書 / 樹種 / 神像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍の影響が懸念されるために、海外での調査は実施せず、国内調査を実施したに留まる。国内調査もコロナ禍の状況を踏まえて慎重に実施したため小規模なものとなった。実施した内容は以下の通り。 6月29日(水)に東京国立博物館で天野社伝来の仮面、9月26日 (月)に東京国立博物館で金春宗家伝来の能面、12月4日(日)~ 5日(月)に茨城県那珂郡東海村に所在する村松山虚空蔵堂の秘仏本尊虚空蔵菩薩坐像及び2躯の木彫像、2023年3月26日(日)に東京都奥多摩町に所在する小河内神社伝来の神像群について、それぞれ樹種調査を実施した。 本年度は海外調査を実施できなかったこともあり、予算を次年度に繰り越したが、その予算で、2023年8月10日(木)~17日(木)にタイで調査を実施した。タイでは、アユタヤのチャンタラカセム国立博物館、バンコクの国立博物館、王室御座船博物館、カンチャナブリーのバーン・カオ博物館、ウドーン・ターニーの地域博物館などを訪れ、木彫像や装飾彫刻、船材について調査を行い、主としてチーク材が重視されていること、シャカ族の祖先はヒマラヤ山南麓のチーク林に定住していたとも伝えられているように、チークは仏教とも密接に関連する樹種であること、さらにタイではアオギリ科のマンソニアをサンスクリットでビャクダンに相当する「チャンダナ」の名称が与えられており、ビャクダンの代用材の認識があったと推定されることなどの知見を得た。 なお、本研究グループがこれまで調査を実施してきた木彫像の樹種データのうち、未公開であったものをまとめた報告書の編集を2021年度から行ってきたが、2022年7月に刊行し、関係機関や関係者に送付するとともに、成城大学のホームページで、リポジトリとして一般に公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、予定していた国内外の調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響力が少なくなるのを待って、次年時以降に海外調査を積極的に実施する。また、東京都と連携して西多摩郡の仏像調査を実施することになったが、木彫像に関してはあわせて樹種調査を実施することにしている。これまで樹種調査は地域を限定せずに行ってきたが、地域を限定して実施することにより、用材観に地域性があるかどうかの検証に繋がり、今後の研究に有効な視点を得る可能性が期待される。
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Remarks |
本研究グループがこれまで実施した木彫像の樹種調査のうち、未公開であった静岡県河津町所在の南禅寺諸像、静岡市所在の坂ノ上薬師堂諸像、全国の神社・寺院や博物館等に所蔵される神像について、そのデータを公表したものである。
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