2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analyzing contemporary acoustic recordings and piano rolls in order to investigate how tempo vibrato was applied by pianists in the first half of the twentieth century
Project/Area Number |
22H00629
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
鷲野 彰子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (20625305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 信宏 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (20221773)
上田 泰 (上田泰史) 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90783077)
山本 邦雄 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (90363407)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 演奏解析 / ピアノロール / 歴史的演奏 / ルバート奏法 / Sonic Visualiser / 演奏傾向 / MIDI / タイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究では、19世紀生まれの演奏家の録音やピアノロールの記録を、演奏解析による分析を行った個別事例を積み重ねると同時に、それらの解析作業のスピードを向上させるためのシステムの開発を行っている。2023年度は、システムの開発を重点的に行った。 ピアノロールのデータから生成されたMIDIを解析する際に、MIDIに含まれる情報から欲しい情報のみを簡易的に検出するシステムの構築は、初年度から進めてきた。2022年度(初年度)はシステムに盛り込む内容を検討しておおよそのデザインを固めたが、2023年度はそれを具体的な形にすべく、ツールの開発者らからの意見を集約しながら、モデルとするプログラムやこのシステムに応用させるプログラムを選択し、細かい仕様を決めた上でコーディングを行った。その結果、基本的な機能を備えたシステムが概ね整った。プログラムの選択や仕様の決定の際に、この方面に詳しい国内外の研究者らから非常に具体的な助言や協力を得られることができたことから、まだ基本的な機能しか備えていないものの、信頼度が高く、扱いやすいシステムを構築することができた。今後、このシステムをテストし、ブラッシュアップすると同時に機能の追加を行う予定である。 他方の演奏解析作業についても継続的に進めている。これまでピアノ演奏に限定して解析を行ってきたが、2023年度は弦楽器の演奏や歌唱の音源についても解析を試み、ヴィブラートやポルタメントのようなピアノ演奏にはない要素の分析方法を検討した(まだ途中段階であるため、今後も継続的に検討する必要がある)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はシステム作成に重点をおいて研究を推進した。本課題研究に必要なシステム構築のために必要なプログラムを選択するため、国内外の研究者らから助言を受け、方針を決め、可能な部分からシステムの構築を図っているところである。2023年度末までに非常にシンプルながら最低限の機能が使えるシステムが完成し、現在、そのテスト段階にあり、より扱いやすいシステムにするべく、今後、修正や機能の追加など、改善する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は、引き続き個別の演奏を演奏解析することでテンポ・ルバートの使用傾向の把握を進めるとともに、より多くの演奏を俯瞰して捉えるような分析を行いたいと考えている。 まずは現在作成中の演奏解析を補助するシステムを完成させたい。これを用いて解析を行うことで俯瞰的な分析がより容易になると考えている。また2024年度後半には、中間報告を兼ねた成果発表の場として、シンポジウムを開催する予定である。シンポジウムには、システム構築中に助言や協力を仰いだ研究者らを招聘したいと考えている。システム開発を行っている研究者らはそれぞれ異なる手法で異なるツールを作成しているものの、互いに非常に関連する内容を扱っていることから、各研究者にとっても非常に刺激的な場となると考えている。また、このシンポジウムでは、演奏解析を行う音楽学者らと解析事例を共有し、演奏からルバートの諸相を様々な角度から一緒に検討したいと考えている。そうすることで、2025年度以降により多くのデータを扱った解析を進める際に、方針や視点が定まった状態で推進可能になると考えている。
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