2022 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル・アーカイブの拡充と発展的活用に向けた最盛期義太夫節浄瑠璃作品の研究
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22H00637
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
黒石 陽子 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (40247268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 晴美 日本女子大学, 文学部, 研究員 (10277808)
田草川 みずき 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (10367097)
小林 左絵 (上野左絵) 日本女子大学, 文学部, 研究員 (10771933)
内山 美樹子 早稲田大学, 文学学術院, 名誉教授 (30063704) [Withdrawn]
原田 真澄 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, その他(招聘研究員) (40580444)
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
高井 詩穂 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (60813780)
飯島 満 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 無形文化遺産部, 特任研究員 (90392547)
森 貴志 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00792912)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 義太夫節浄瑠璃 / デジタル・アーカイブ / 浄瑠璃作品研究 / 音曲研究 / 言語研究 / 翻刻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は最盛期義太夫節浄瑠璃作品の、古浄瑠璃から現代まで続く浄瑠璃史のみならず、日本文学・文化史への新たな位置づけを実現することを目的とする。 本研究課題の学術的特色の第一は、義太夫節人形浄瑠璃の最盛期作品を、これまでに蓄積した浄瑠璃本文・節付のデジタル・アーカイブを使用して、体系的及び学術的な分析・研究を行おうとする点にある。今回の研究では、これまでの研究成果の蓄積に加えて、さらに①義太夫節浄瑠璃最盛期の有名・無名を問わない浄瑠璃作品の翻刻を進め、刊行を目指す。同時に②蓄積した翻刻データのデジタル・アーカイブ化を行い、学術上の未知の情報を提供し、語彙索引・節付索引の整備を目指す。 このうち①については、これまでに第7期までの刊行を進めてきた『義太夫節浄瑠璃未翻刻作品集成』の第8期掲載作品を研究会において検討し、次の11点の作品を決定し、担当者を定めた。『今様傾城反魂香』(東晴美)『契情我立杣』(田草川みずき)『ひらかな盛衰記』(桜井弘)『今川本領猫魔館』(上野左絵)『青梅撰食盛』(坂本清恵)『義経新含状』(飯島満)『詩近江八景』(山之内英明)『浦島太郎倭物語』(黒石陽子)『花筏巌流島』(高井詩穂)『源平布引瀧』(川口節子)『契情買指南』(坂本清恵)。②については担当者各自が①の翻刻作業を進めながら、留意された問題点を提出し、検討課題として集約することを継続した。これらは浄瑠璃正本で使用される漢字の調査・分析、音曲研究における節付索引作成方針の検討へつなげていく基盤のデータである。さらにこれまでに『義太夫節浄瑠璃未翻刻作品集成』第1期~第7期までに公刊した72作品のテキストファイルの精査を実施し、語彙情報を付加するタグ付け作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
翻刻対象の作品が確定し、担当者が翻刻の準備を開始した。コロナ感染症拡大が収拾しきれぬ中、担当者の諸本調査が進みにくい状況があり、原本確認がしにくいために底本選定に時間がかかるものもあった。しかしデジタル画像も活用しつつ、できるところから翻刻を進め、第一次翻刻が開始され、おおむね順調に進行した。 研究分担者による国際学会での発表が2件あり、義太夫節人形浄瑠璃に関する発信を行うことができた。また言語研究の成果として、これまでに翻刻し、蓄積してきたテキストデータを元とする「『丹州爺打栗』自立語索引』」を刊行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で実施することが難しかった諸本調査、原本の書誌調査等は次年度以降確実に進めるようにしていく。また『義太夫節浄瑠璃未翻刻作品集成』第8期刊行に向けての具体的な作業を推進する。翻刻の第1次完了を急ぎ、担当者を交替しての第2次翻刻、担当者の修正翻刻、さらに担当者を替えての第3次翻刻、担当者による修正を経て翻刻本文の完成を目指す。同時に解題事項の作成を進める。このうち第2次翻刻までは次年度中に確実に進める。また、その間に翻刻上で検討すべき問題点についてを研究会を開催して検討を重ねていく。研究成果公開促進費の申請を行う。
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