2022 Fiscal Year Annual Research Report
Descriptive study on the definition of "sentence"
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22H00656
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
山越 康裕 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70453248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 己 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30304570)
塩原 朝子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30313274)
安達 真弓 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (70790335)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 記述言語学 / 文 / 発話単位 / 音韻論 / 統語論 / 形態論 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大状況下において、プロジェクトメンバーの全員が現地調査を行うことがかなわず、当初想定していた以上に研究課題遂行が困難となった。そのため、各自がこれまで集積したモンゴル諸語(山越)、オーストロネシア諸語(塩原)、スライアモン・セイリッシュ語(渡辺)、ベトナム語(安達)の既存の言語データを再度精査し、それぞれの言語における「文」単位、もしくはトークンの切れ目をどのように設定することが可能かどうかを検証した。それをふまえ、プロジェクトメンバー全員が参加・報告する形で研究会を開催し、「文」の規定における各言語の問題点について報告した。4件の報告を通して、先行研究においても「文」の定義は一貫していないこと、意味的には一つの文は「一つの命題」を伝えようとしていると考えられるが、必ずしもそうとは限らないケースもあること、テキスト資料公開の際には何らかの基準でテキストを区切ることが求められるが、音声的な区切りで区切るのか、文法的に区切るのかは研究者が恣意的に行うケースがままあること、「文」の定義が品詞分類に影響するケースがあり、循環論に陥ること、といった規程上の問題が存在すること、さらに拡張して通言語的に「文」を記述的見地から定義することの困難さが強く予想されることが浮き彫りとなった。 他の成果として塩原はインドネシア国立研究革新庁にて少数言語のドキュメンテーション活動普及のためのワークショップにおいて、本研究課題で得られた知見をもとに講師を担当したほか、アメリカ言語類型論学会でも成果発表をおこなった。山越は国内研究会にて成果発表をおこなった。 なお、2022年度は上述のとおり現地調査の機会が得られなかったことから、一部を繰り越して2023年度に延長し、実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要に示した通り、現地調査が実現しなかったことから既存のデータに頼るよりほかなく、新規のデータを追加できなかった。この点で当初計画に比べ十分な成果が得られなかった。メンバーのうち渡辺・山越はとくに調査協力者が高齢であり、感染症に関してはより慎重にならざるを得ないという問題がある。塩原・安達についてもそれぞれ現地調査の実施が難しい状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況次第ではあるが、できうるかぎり現地調査実施の機会をうかがう。この先も現地調査がかなわない場合はこれまでの現地調査で収集した各言語の資料分析・整理をおこない、とくに本研究課題で検討している「文」単位の切り分けに注意を払いつつ、テキスト資料の公開を積極的に進めていく。
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