2022 Fiscal Year Annual Research Report
中国の台頭と権威主義体制の「ネットワーク化」の研究
Project/Area Number |
22H00825
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Defense Studies |
Principal Investigator |
庄司 智孝 防衛研究所, 地域研究部, 研究部長 (70933307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山添 博史 防衛研究所, 地域研究部, 研究室長 (20933328)
仙石 学 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (30289508)
工藤 年博 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30450498)
長谷川 雄之 防衛研究所, 地域研究部, 研究員 (30933329)
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
益尾 知佐子 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (90465386)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 権威主義 / ネットワーク / 中国 / ロシア / 東南アジア / 中東 / 東欧 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国の経済的・軍事的台頭が、国際社会において権威主義体制国家間の協力関係を強化し、そのネットワーク化を促進する、という本研究課題の中心仮説を立証すべく、プロジェクト初年度にあたる2022年度において、プロジェクトメンバー間の研究会と海外調査旅行を実施した。 研究会はオンラインと対面双方で複数回実施し、ベトナムを中心とする東南アジア、カザフスタンを中心とする中央アジア、トルコ等中東地域、ロシア、中国における権威主義体制国家の内政、他権威主義国との協力関係に焦点を当てた外交について発表・討論を行った。研究会の実施により、発表を行ったメンバーは自らの専門地域・国に関して問題意識を深め、今後の研究を促進する契機となった一方、その他のメンバーは他地域・国の状況に関する理解を深め、自らの専門地域・国との比較考察に有益な視点を得た。 海外調査旅行に関しては、北欧諸国(フィンランド、スウェーデン)での共同調査を実施し、当地の政府機関(国防省、外務省他)、大学、研究機関を訪問し、実務家・専門家との意見交換を実施した。現地の専門家の視点は当該テーマの考察にきわめて有益である一方、当方の専門的知見を先方に提供することにより、広い意味での国際的な知的交流に貢献することもできた。またロシアのウクライナ侵攻により緊張が高まる国々の現地の空気に触れることにより、当該研究テーマの現代的意味について今一度認識を新たにした。共同の海外調査旅行のほか、各メンバーはそれぞれの専門地域・国を中心として個別の海外調査旅行を実施し、研究の大いなる資とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度までにメンバー間の研究会において、いくつかの専門地域・国の発表と議論を行い、当該テーマに関する各地域・国の視点をメンバー間で共有することができた。またメンバーそれぞれが、自らの専門地域・国を他と比較考察するために有益な視点を得ることができた。さらに、中国を中心とする権威主義体制国家間の公式・非公式の協力関係とネットワーク化の現状と展望につき、メンバー間で一定程度知見を共有すると同時に、それぞれの専門地域・国がそのネットワーク化にどのように関与しているのか、またそうした関係性がそれぞれの国家の体制維持強化にどのように作用しているのかにつき、有益な視点と研究上のインスピレーションを得ることができたと考える。 さらに海外調査旅行の実施は、ロシアと対峙する国々の内政外交の現状を直に認識し、その空気感を肌で感じることができるきわめて有益な機会となった。以上の点から、2022年度、本研究課題はおおむね順調に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
各発表と海外調査旅行の成果を踏まえ、以後、専門地域・国に関する発表を継続する。その際、各国事情の知見と比較の観点の共有を図り、かつロシアのウクライナ侵攻や米中対立の激化といった刻々と変化する国際社会の大きな動きに直面して変化する各国事情の現状を踏まえ、当該研究課題を進める。 同時に、共同の海外調査旅行を企画実施し、対象となる地域・国の現状を調査し、現地の専門家との意見交換により、国際的な知的交流にも貢献する。
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Research Products
(13 results)