2022 Fiscal Year Annual Research Report
Social seeking, liking and maintenance in autism: Molecular mechanism, social adaptation and development
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22H01102
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
千住 淳 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00557738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山末 英典 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80436493)
尾内 康臣 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40436978)
福田 冬季子 浜松医科大学, 医学部, 特任教授 (10458268)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ASD / 社会的動機付け / 動機付け |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、小児の社会的動機付けの基盤となる生理学的メカニズムについて実験研究と理論研究を発表した。実験研究は、乳児に見られる視覚的共同注意の文脈依存性が覚醒系によって媒介されることを示したものであり、乳児期の社会的認知処理の調整が情動・覚醒系によってもたらされていることを示すものである。また、理論研究は社会的文脈に関する記憶・学習系と生体の内部情報の表象としてモデル化できる覚醒系・報酬系が社会的認知を文脈依存的に制御するメカニズムについて提案したものである。これらの小児を対象とした研究に加え、PET計測によりASD成人の前部帯状回における代謝系の非定型性を示した実証研究も報告し、社会的動機付けに関連する生理的な基盤について新たな知見を世に生み出した。これらの社会的動機付けに関する直接的な研究に加え、人の顔認知にかかわる脳波計測の実情と問題点についてのメタ分析、自閉傾向の個人差の発達的軌跡に関する性差に関する疫学的研究、自閉症女性とホームレスを併存する事例に関しての社会的問題など、自閉症の社会適応を取り巻く理論的・実証的・社会的問題について幅広い研究を行い、論文として発表した。
これらの論文発表に加え、ASD小児を対象とした動機付けに関する計算モデルを構築するオンライン実験研究を実施、さらに、ASD成人の社会的動機付けについて、カモフラージュなどの社会的戦略に関するオンライン質問紙研究を企画・準備するなど、自閉症者・定型発達者の社会的動機付けに関する分子・発達・主観経験上の特徴について、研究を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メイントピックや周辺領域に関する論文発表が好調であり、実験研究も順調に進んだ。一方コロナ禍の影響でヒト対象の実験実施に遅れが生じており、リソースを理論研究に振り分けるなど計画の修正が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に対面の追加実験を実施し、また2022年度に着手したオンライン研究の解析・論文化を図る。
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