2023 Fiscal Year Annual Research Report
エルニーニョ・南方振動気候モデル実験による重力波と赤道準2年振動の新知見
Project/Area Number |
22H01303
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河谷 芳雄 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (00392960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 正智 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (00360941)
渡辺 真吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), センター長代理 (50371745)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 赤道準2年振動 / エルニーニョ・南方振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤道準2年振動(QBO)気候モデル国際比較プロジェクト(QBOi)のco-leadsとして、国際共同研究を主導した。その中で現在進めているENSO-QBO実験を主責任者として取り纏め、3つの研究グループに分けて解析を続けて初期結果が出てきた。エルニーニョ実験とラニーニャ実験を比較すると、どの気候モデルもエルニーニョ実験の方がQBO周期が短く、観測と整合的である。しかし周期の変調にはモデル間で大きなばらつきがあり、その原因を運動量収支解析により調べている。 典型的なQBO東西風サイクルが観測された1980年7月から1983年6月の36か月間を対象に、大気大循環モデルを全球再解析データを用いて初期値化したのち、月初から月末まで1か月間のTranspose-AMIP実験を毎月実施することにより、様々なQBO位相におけるQBO東西風の誤差成長の様子を調べた。使用した大気大循環モデルの弱点として、QBO東風シアー層の下降時の下降速度を過小評価する傾向が見られた。運動量収支の解析結果とともに、関連する国際会議で発表した。 本年度は、4種の再解析データから計算した変形オイラー平均(TEM)方程式系の全項と残差項およびその全変数について、それらの気候値の比較・検証をおこなった論文を執筆し、Atmospheric Chemistry and Physics誌に投稿した。また、国際的な再解析データ比較検証活動S-RIP Phase 2の計画立案に関わりつつ、国際会議および国内学会にてこれに関連する招待講演をおこなった。また、基準高層観測網(GRUAN)の会議に出席し、ラジオゾンデ観測がQBOの状態監視の鍵であることについて議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後のQBO関連研究に広く引用されることが期待される。QBOi国際プロジェクトのco-leadsとして国際共同研究を主導しつつ、同プロジェクトの共著論文の執筆も開始されている。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した手順で、引き続き研究を進めていく。特に気候モデルの本格的な実験を開始し、データ解析を進めていく。
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