2023 Fiscal Year Annual Research Report
Planning, operations, and processes for converting public schools and closed schools into community hubs and their evaluation indicators
Project/Area Number |
22H01662
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小松 尚 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80242840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小篠 隆生 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00250473)
李 燕 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (40943577)
西澤 泰彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80242915)
斎尾 直子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (80282862)
加藤 悠介 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (80455138)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 学校 / 廃校 / コミュニティ・ハブ / 空間 / 運営 |
Outline of Annual Research Achievements |
①公民館等との複合型学校施設における空間および活動の融合化に関する研究を継続し、日本建築学会計画系論文集で発表した。また、福島県大熊町の複合型教育・保育施設(学び舎ゆめの森)の現地調査を行い、原発事故災害からの復興における教育と福祉の融合拠点の可能性を検討した。さらに、公民館と複合化し、福祉部局の窓口も併設する松阪市鎌田中学校について、前年度に実施した利用者評価の分析、考察を進めた。 ②廃校に関して、愛知県豊田市の「つくラッセル」について、中山間地域におけるコミュニティ・ハブの価値やフリースペースの存在意義について日本建築学会地域施設計画研究シンポジウムで発表し、関連研究者と議論を深めた。また、廃校をコミュニティ・ハブに転換したクリエイティブシティセンターQ1(山形市)とLink MURAYAMA(村山市)、グルッポふじとう(春日井市)等の現地調査を行い、運営者へのヒアリングと空間調査により、廃校を利活用したコミュニティ・ハブ生成の可能性と課題、評価視点を検討した。 ③上記2点に関連する事例としてパリの廃病院建築の暫定利用プロジェクト「Les Grands Voisins」の考察を進め、日本建築学会計画系論文集で発表した。 ④国際共同研究として、コロナ禍の「みんなの場所」等についてトリノ工科大学のアンドレア・ボッコ教授と現地で議論をした。また、トリノとアレッサンドリアの「地区の家」、ボローニャのサラボルサ図書館を訪問し、関係者へのヒアリングと前記テーマに関する議論を行った。 ⑤本科研分担者の西澤泰彦氏が代表者(21H01517)である科研チームと合同でシンポジウム「学校建築の鉄筋コンクリート造化と地域拠点化」を実施し、学校建築の歴史的位置づけをふまえた今後の計画的視点を議論した。 ⑥この他、本科研費テーマの議論の進展に寄与すると考えられた社会教育施設等の研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したとおり、まず学校及び廃校を利活用してコミュニティ・ハブへと転換した事例研究(関連参考事例を含む)とその発表が着実に実施でき、コミュニティ・ハブとして学校や廃校を再生する計画論の提示に向けた議論の基盤ができた。また、2022年度に続き、原発事故による避難区域であった地域に開設された教育・保育施設の研究などから、災害復興における学校のありかた、特にコミュニティ・ハブとして再興する視点が得られた。 次に、イタリアのコミュニティ・ハブ研究及び実践者とのディスカッションを通じて、日本のコミュニティ・ハブの生成、特に学校という空間的、社会的な地域資源の有する特質を継承して利活用していくことの可能性や国際的な特異性と独創性、さらに今後の課題について確認することができた。また、パリの廃病院の暫定利用による利活用プロジェクトの研究から、暫定的に公的な空間資源を利活用する意義や価値の考察を発表でき、DIY的手法や時間的視点をもってコミュニティ・ハブ生成を検討する重要性を確認した。 さらに、建築史の研究者との分野横断的議論は、改めて歴史的視点をもった計画研究の必要性の気づきを得た。 以上の理由から、4年間の研究期間の中で、2年目の終了時点としては概ね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
4年間の研究期間の内、後半の2年間は過去2年間の研究成果を再整理し、計画論とその評価指標の提示に向けた議論を、本研究組織メンバーで行いたい。都市や社会の成長・拡張期とは異なる計画論の構築に向けて、建築空間や運営面だけでなく、歴史、市民参加、経営、行政組織の再編などの視点を盛り込んだものとするための議論と、それに必要となる事例調査を追加で行う。また、2023年度に行った建築史分野の研究者との合同シンポのように、異分野の研究者や実践者との議論を行いたい。その成果は、学術誌等への論文投稿や学会等での発表の他、書籍の編纂、出版による研究成果の幅広い共有を目指したい。
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