2023 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of Erns protein involved in persistent infection of classical swine fever virus and atypical porcine pestivirus
Project/Area Number |
22H02504
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
迫田 義博 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (40333637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 学 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (10374240)
青木 博史 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (10440067)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 豚熱ウイルス / 非定型豚ペスチウイルス / Erns蛋白質 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
豚熱(CSF)ウイルスおよび非定型豚ペスチ(APP)ウイルスの病原性、特に持続感染を引き起こす分子基盤を解明するために、2つのウイルスが属するフラビウイルス科ペスチウイルス属において病原性因子として細胞の内・外からその機能が発揮できるウイルス構造蛋白質Ernsに着目し、ブタに対して病原性を発揮するきっかけとなる宿主免疫からの回避と制御された細胞死の抑制に関するErns蛋白質の機能を調べる。 まず、Erns蛋白質について(a)RNase活性モチーフ(30H、74HE75-78KH79)に加え、(b)RNase活性モチーフ非依存的な免疫回避機構に関与するドメイン、および(c)アポトーシスやネクロトーシスに関与するドメインを立体構造解析から予測し、これらの部位に変異を挿入した組換えウイルスの作出を試みた。その結果、既存の領域以外のErnsのN末端もⅠ型インターフェロンが関与する自然免疫の回避に関与することがわかった。さらにこの領域は、ネクロトーシスの誘導にも関与することが明らかとなった。一方、立体構造から予測されたその他の3つのドメインに変異を挿入するためのウイルス完全長遺伝子4つの作製に成功したが、この遺伝子から感染性ウイルスは回収されなかった。これはこの3つの領域のアミノ酸変異が蛋白質の機能変化にとどまらず、ウイルス粒子の産生そのものに影響を及ぼしていると考察された。 さらに、国内で分離されたAPPウイルスのリバースジェネティクス系を確立し、人工的に作出された野外株と同じ遺伝子配列を持つ組換えウイルスを作出した。この人工ウイルスの性状が、野外株が子豚に対する増殖が限定的であったのと同様に、ウイルスの増殖性が低いことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に実施予定であったErns蛋白質の新たな機能ドメインの同定を予定通り進めることができた。また組換えウイルスの作出やその性状解析も予定通りに実施できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
病原性因子として細胞の内・外からその機能が発揮できるウイルス構造蛋白質Ernsの宿主免疫からの回避と制御された細胞死の抑制に関する機能解析を計画通りに進める。一方、リバースジェネティクスで作出した非定型豚ペスチウイルスを豚に接種しても感染性ウイルスの回収が出来ず、ウイルス遺伝子の検出にとどまった。ウイルスの接種法を改良しても研究を進めるために十分なウイルス増殖が確認できない場合には、非定型豚ペスチウイルスに関連する他のペスチウイルス(反芻獣由来ペスチウイルスと海獣由来ペスチウイルス)をErns蛋白質の機能解析に追加して研究を進める。
|
Research Products
(10 results)