2022 Fiscal Year Annual Research Report
Chromatin remodeling mechanism coupled with DNA damage response
Project/Area Number |
22H02546
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小布施 力史 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (00273855)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ヘテロクロマチン / DNA損傷修復 / クロマチンリモデリング因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAに損傷が起こると、損傷領域周辺のクロマチンがオープンな構造に再編され、修復因子複合体の形成を促進し、修復が終了したのちには元のクロマチン構造に戻すというモデルが提唱され、その現象やメカニズムの一端が明らかにされつつある。しかしながら、損傷チェックポイントの下流において、クロマチンリモデリング複合体がどのようなしくみでチェックポイントや損傷部位・修復反応と連携しているのか不明な点が多い。本課題は、私たちが見出した新規ヘテロクロマチン因子とクロマチンリモデリング複合体との相互作用の機能が、修復反応のどのステ ップで、どのように働きかけているのか明らかにすることを目的としている。 本年度は、AHDC1におけるリモデリング因子との相互作用部位を探索し、リモデリング因子が結合しない変異AHDC1を作出することを試みた。AHDC1の欠失変異を複数作出し相互作用を解析したところ、C末端側のある200アミノ酸を欠失するとリモデリング因子との相互作用が大幅に減退することがわかった。また、C末端側は主に構造をとらない天然変性領域が大部分であるが、AlphaHoldで解析すると200アミノ酸の中に保存された数アミノ酸からなるヘリックスの存在が予測された。また、そのヘリックスを含む100アミノ酸を欠失したAHDC1は、200アミノ酸を欠失した時と同様に、リモデリング因子との相互作用が大幅に減退し、ほとんどリモデリング因子が結合しないことがわかった。わずかに残る相互作用活性は、AHDC1が持つ自己集合活性により、内在性のAHDC1とリモデリング因子との相互作用によるものと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AHDC1とクロマチンリモデリング因子との相互作用に必要なAHDC1側のアミノ酸領域を限定し、クロマチンリモデリング因子との相互作用が著しく減退した変異AHDC1を得ることができた。次年度以降、AHDC1とクロマチンリモデリング因子との相互作用の意義を探索するために、この変異AHDC1を供することができるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度作出した変異AHDC1を供し、AHDC1とクロマチンリモデリング因子との相互作用の意義を探索する。また、AHDC1とヒストン脱アセチル化酵素との相互作用も 見出しており、同様に、ヒストン脱アセチル化酵素と相互作用できないAHDC1を作出し、DNA 損傷修復における表現型を探索する。これらの解析から、AHDC1 がどのようなメカニズムで損傷修復に関わるのか議論する。
|