2023 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーアダプターをハブとした損傷ミトコンドリア分解機構
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22H02577
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山野 晃史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30547526)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー / マイトファジー / ユビキチン / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアはATP合成をはじめとして様々な代謝反応に必須のオルガネラである。ATP合成の副産物である活性酸素などによって損傷を受けたミトコンドリアは、オートファジーを介して選択的に分解される(マイトファジー)。ミトコンドリア損傷の目印は外膜に付加されるユビキチン鎖であるが、それを読み取り、オートファジーに伝えるのがオートファジーアダプターである。特にOPTNとNDP52はマイトファジーに必須のアダプターである。これまで研究代表者はOPTNの分子機能を明らかにしてきたが、NDP52の機能解析は十分ではなかった。特にNDP52を介したマイトファジーにはOPTNと同様、TBK1キナーゼが必要であると示唆されていたが、分子機構は不明であった。 そこで、NDP52とTBK1の機能的関連を調べるために、NAP1/AZI2とTBKBP1/SINTBADに着目した。これらはNDP52とTBK1の相互作用に必要な仲介分子として考えられているため、CRISPR/Cas9法でノックアウト細胞を作成した。さらにこれらにOPTNのノックアウトも加えたトリプルノックアウト細胞も作製した。そしてParkin依存性マイトファジーの効率を調べたところ、NAP1/AZI2がマイトファジーの駆動に必須であるが、TBKBP1/SINTBADは不要であることがわかった。重複した機能をもつアダプター分子の個々の細胞内機能を調べることで、ミトコンドリア分解の理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NDP52とTBK1の相互作用に必要な仲介分子であるNAP1/AZI2とTBKBP1/SINTBADのシングルノックアウト細胞、ダブルノックアウト細胞、またOPTNとのトリプルノックアウト細胞を作製した。これらの細胞を用いてParkin依存性マイトファジーを詳細に調べ、NAP1/AZI2がマイトファジーの駆動に必須であるが、TBKBP1/SINTBADは不要であることを突き止めた。NAP1/AZI2の細胞内動態解析とも合わせて、ミトコンドリア分解の新しい知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
NAP1/AZI2とTBKBP1/SINTBADはNDP52だけでなく、もう一つのオートファジーアダプターであるTAX1BP1とも相互作用することが知られているが、その細胞内機能や生理的意義は全く不明である。ミトコンドリア分解以外の選択的オートファジーにおいてもTBK1の活性化が重要であるため、今後はマイトファジーの枠にとらわれず、包括的にオートファジーアダプター、TBK1、NAP1/AZI2およびTBKBP1/SINTBADの機能的連携を明らかにしていきたい。
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Research Products
(9 results)