2022 Fiscal Year Annual Research Report
The role of tendon cells in coordinating musculoskeletal morphogenesis
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22H02636
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
乾 雅史 明治大学, 農学部, 専任准教授 (20643498)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腱 / 骨格筋 / 軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物の運動器は、骨格筋、骨、軟骨、そして骨格筋と骨軟骨をつなぐ腱により機能的な形態が構成されるが、その形成メカニズムの解明は 不十分である。本研究は腱を中心とした、組織間相互作用による形態形成メカニズムの解明を目的とし、1. 筋腱結合を誘導する因子の同定、2. noncoding RNAによる腱骨境界形成制御の解析、3. 腱前駆細胞を規定する転写因子Scxの発現制御や標的遺伝子の機能解析に取り組んでいる。2022年度は課題1筋腱結合制御因子の同定のためにシングル核RNAseq解析を実施し、クラスター分けや既知遺伝子の発現パターンから見て技術的に妥当と考えられるデータが取得できた。ただし筋腱相互作用を解析するためにはさらに腱細胞がenrichする条件の検討が必要であり、今後も同様の解析を行いたい。課題2腱骨境界で発現するnon-coding RNAの解析については、胚におけるより詳細な発現パターンを同定し、またexon1を欠損させたノックアウトマウス系統を樹立した。今後このマウスを解析していくことで腱骨境界形成における機能を解明していく。課題3Scx標的遺伝子の機能解析については標的遺伝子の一つについて、近傍のScx ChIPseq peakを含む転写制御領域を同定するとともに、ノックアウトマウスの作製を行った。今後はScxによる直接的な制御配列の絞り込みとノックアウトマウスの表現型の解析を進める。以上のように2022年度の研究から骨格筋と腱、腱と骨軟骨の形態形成の理解につながるデータが得られており、今後の研究からより明確なメカニズムの理解が進むことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は組織間相互作用による形態形成メカニズムの解明を目的とし、1. 筋腱結合を誘導する因子の同定、2. noncoding RNAによる腱骨境界形成制御の解析、3. 腱前駆細胞を規定する転写因子Scxの発現制御や標的遺伝子の機能解析の3つの課題で研究を進めている。それぞれの課題で当初想定していたシングルセル・シングル核解析、noncoding RNAの発現解析およびノックアウトマウスの作製、Scx標的遺伝子の制御配列の同定を行うことができたため、概ね計画通りの進捗であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は組織間相互作用による形態形成メカニズムの解明を目的とし、1. 筋腱結合を誘導する因子の同定、2. noncoding RNAによる腱骨境界形成制御の解析、3. 腱前駆細胞を規定する転写因子Scxの発現制御や標的遺伝子の機能解析の3つの課題で研究を進めている。今後、課題1については得られたシングル核解析のデータ解析から骨格筋の分化に関与する因子や筋腱相互作用因子の候補を選抜し、発現・機能解析を進める。また、より腱細胞がenrichする条件を検討し、再度シングル核解析を試みる。課題2については対象とするnoncoding RNAのexon1を欠損させたノックアウトマウスを進めるとともに、exon1-6全てを欠損させたマウスの作製や培養細胞を用いた機能促進・機能阻害実験に取り組む。課題3についてはScx制御配列の絞り込み、Scx標的遺伝子のノックアウトマウスの解析を進める。
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