2023 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における内在能力の簡易評価票の開発のためのコホート研究
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22H02977
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
佐竹 昭介 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (50508116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細山 徹 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 副部長 (20638803)
松井 康素 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院 ロコモフレイルセンター, センター長 (50501623)
前田 圭介 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 客員研究員 (50775179)
田村 嘉章 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50842142)
荒木 厚 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60539196)
木下 かほり 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (60896306)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Intrinsic capacity / 簡易評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界保健機構(WHO)は近年“Healthy Ageing”の概念を提唱し、高齢者の健康管理では疾患の有無よりも生活機能評価を重視する考えを示した。生活機能を支える因子には個体要因と環境要因があるが、WHOは個体要因を支える心身機能を内在能力(Intrinsic Capacity: IC)と称し、その評価を診療に取り入れることを推奨している。本研究では、国立長寿医療研究センター・ロコモフレイル外来に通院する65歳以上の高齢者を対象に、IC評価の有用性を調査するとともに、簡易的にICを評価しうる質問票の開発を行うことを目的としている。このような簡易質問票の利用により、高齢者のIC評価が日常診療において実施されることが普及することを期待するものである。 本年度は、ICを構成する主要な能力とされる、移動能力、認知能力、栄養状態、心理的能力、感覚器能力について評価した。これらを総合的にスコア化し、基本的ADL、老研式活動能力指標、JST版活動能力指標との関連性を解析した。このICスコアは、高次ADLと有意な関連性を示した。また、1年後の健康障害(転倒、骨折、緊急入院、死亡)を評価した高齢者351名について、ICスコアと健康障害発生の関連性を解析した。1年後までに、96名の高齢者が健康障害を経験し、感覚器能力を除く総合的ICスコアは、1年後の健康障害発生と関連した。 我が国におけるIC評価に関する研究はまだ少ない。このため、この分野のエビデンスの蓄積が必要である。本研究では、ICスコアによる評価が健康障害発生の予後予測に有用である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国立長寿医療研究センターロコモ・フレイル外来へ通院している患者を対象に、intrinsic capacity(IC)評価を行い、基本チェックリストや転倒スコアの質問をもとに、簡易質問票の作成を試みている。
また、実測値によるIC評価と健康障害発生についての関連性を解析し、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
簡易IC評価票の作成後、質問票の作成とは別の高齢者のデータを用いて、簡易IC評価票が高齢者の能力評価として有用であるか否かを調べる予定である。
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