2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the etiology and its molecular pathogenesis of pediatric-onset myocarditis
Project/Area Number |
22H03043
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大賀 正一 九州大学, 医学研究院, 教授 (60233053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 真治 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50419529)
今留 謙一 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 高度感染症診断部, 部長 (70392488)
井原 健二 大分大学, 医学部, 教授 (80294932)
長谷川 俊史 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90314806)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 急性心筋炎 / パルボウイルスB19 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは急性心筋炎患児の発症時血清にヒトパルボウイルスB19(B19V)DNAを検出し、これが伝染性紅斑の流行と相関し、より重症であることを見出してきた。本研究では、15歳未満の急性心筋炎患者の末梢血、心筋組織検体と臨床情報を前後方視的に集積し、心機能回復群と未回復群の臨床像、治療経過、B19Vとの関連(血液と心筋)を解析している。 前方視的な解析としては次に述べる通りである。今年度、当院ICUに入室し、急性心筋炎と診断されたまたは疑われた患児7名(男3名、女4名、月齢中央値88)の血漿中のウイルスおよび末梢血球のrepertoireを国立成育医療センター高度感染症診断部で網羅的に解析した。ウイルスが陽性となったのはB19V 1名(1.4x101 copies/mL)、HHV7 1名(4.2 x101 copies/μg DNA、鼻腔インフルエンザA抗原陽性)であった。ウイルス量が極めて微量であったため、感染細胞の同定には至らなかった。末梢血では単球の活性化が目立った。B19V陽性の1名に関しては心筋生検を施行しており、リンパ球、単球、好中球の集簇が見られ、急性心筋炎に合致した所見であった。今後、B19V免疫染色を施行する予定である。 また後方視的な解析としては以下の通りである。急性心筋炎由来B19V 6検体および当院に入院した伝染性紅斑由来B19V 4検体の遺伝子解析の結果、175塩基中の1塩基のみ変異を認めたため、in vitroで追加実験を行った。変異を加えたNS1遺伝子をクローニングして、ヒト冠動脈内皮細胞に強制発現させ、上清のサイトカイン解析を行った。実験の結果、上記変異の有無による有意な差は生じなかった。B19V心筋炎の発症には、ウイルス側より宿主因子の影響が大きいのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
後方視的な解析としての、退院済み患者のリクルートが進んでいない
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Strategy for Future Research Activity |
2022(R4)年度に引き続き、新規急性心筋炎症例が入院次第、同意書を取得し、臨床情報(居住地、病歴、経過、血液・生理学的検査データなど)を収集し、血漿中のウイルスおよび末梢血球のrepertoireを国立成育医療センター高度感染症診断部で解析を継続する。B19V陽性例に関しては、株のDNA量・遺伝子型を琉球大学大学院医学研究科ウイルス学講座で解析を継続する。後方視的解析としては症例のリクルートを広域ですすめ、同意が取得して宿主の遺伝子解析を行う。研究を遂行する上での課題としては、5年以上前のB19V陽性例は当院でのフォローアップが終了している例が多く、来院が困難な可能性がある点などが挙げられる。
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