2022 Fiscal Year Annual Research Report
老化・加齢性疾患の予防に向けた「夏眠様反応」制御メカニズム解明のための基盤研究
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22H03514
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
西山 成 香川大学, 医学部, 教授 (10325334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 博之 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (80438291)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 夏眠 / 夏眠様反応 / 浸透圧 / 代謝変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は最近、肺魚や両生類・爬虫類が持つ「体液保持のために夏眠する能力」の一部が、陸上高等動物である我々にも保存されていることを発見し、「夏眠様反応 (aestivation-like response)」と名づけた。さらに最近、体内に潜在している夏眠様反応が、生活習慣病における生体の恒常性維持に重要な役割を果たしていることを見出している。そこで本研究では、生体防御能力・「夏眠様反応」の制御メカニズムを解明し、老化や加齢性疾患との関連を明らかにする基盤研究を実施することを目的とした。 本研究期間中に「夏眠様反応」の全容解明に向けた基盤研究とし、肺魚、マウス、培養細胞を使用した基礎実験、ならびに臨床研究(将来の宇宙研究の準備も含め)を実施するが、初年度の研究実績は以下の通りである。 1. 新屋島水族館の協力により、水中で飼育している肺魚を泥上に移して人工的に夏眠を誘導し、採血する技術を確立した。2. 浸透圧センサー TonEBPのマクロファージ特異的欠損マウスを作製した。3. 正常C57BL/6マウスを長期間飼育して生じる加齢変化に対し、「夏眠様反応」がどのようなタイムコースで生じているのかについて明らかとするため、初年度より飼育を始めた(100週齢程度まで観察する予定)。4. 倫理委員会の承認作後、久留米大学が進める住民コホート「田主丸研究」におけるフレイル住民の血液検体を解析し、「夏眠様反応」の臨床マーカーとして考えられる尿素サイクルの変化が保存血液サンプルで同定できることを確認した。5. JAXA との共同研究 フィジビリティ・スタディが採択されていたが、2023年3月に外部最終審査を受け、現在、国際宇宙ステーションで宇宙飛行士の健康状態を検証に向け、JAXAの最終承認を待つ状況となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すべての研究において、初年度の実験が予定通り進んでいるため
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Strategy for Future Research Activity |
肺魚「夏眠」時の全身代謝の同定:経時的採血に加え、夏眠前、夏眠後2週間、2ヶ月の個体から肝臓、骨格筋、脂肪の組織を採取し、網羅的なメタボローム・リピドーム解析を実施することにより、実際の「夏眠」で生じている全身代謝変化の全容を解明する。遺伝子改変マウスではマクロファージTonEBP欠損マウスを使用し、高食塩食 + 生理的食塩水投与による異化反応(カタボリズム)が、遺伝子改変動物で増強、減弱、あるいは生じないのかについて同定し、「夏眠様反応」における各臓器のTonEBPの役割を明らかとする。 正常マウスの実験では、腎臓と肝臓の交感神経を外科的除神経し、上記の「夏眠様反応」誘導方法で異化反応を評価することにより、「夏眠様反応」における交感神経の役割を同定する。また、TonEBPの転写活性を蛍光で可視化できる培養細胞とマウスを用いたバイオアッセイ システムを確立し、その制御機構を明らかにする。併せて、ノルエピネフリンやアドレナリン受容体拮抗薬の作用を同定することにより、交感神経の関与の確証を得る。 これに並行して、田主丸コホート研究におけるフレイル住民の血液検体を解析し、 JAXA との共同研究の最終承認後、倫理申請を2025年度までに完了し、2026年以降の打ち上げで実施予定の宇宙実験に備える(実証期間は未定)。
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