2022 Fiscal Year Annual Research Report
言語圏地域市場の形成・統合・再編に関する研究:ロシア語圏市場に焦点を当てて
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22H03845
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
徳永 昌弘 関西大学, 商学部, 教授 (30368196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志田 仁完 西南学院大学, 経済学部, 准教授 (10802689)
安木 新一郎 函館大学, 商学部, 教授 (40586012)
松本 かおり 神戸国際大学, 経済学部, 教授 (80513796)
カン ビクトリヤ 帝京大学, 経済学部, 准教授 (90638868)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ロシア語圏市場 / 海外直接投資 / 経済特区 / 経済制裁 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロシア・ウクライナ戦争の勃発により、本年度は現地調査や新たなデータ収集ができなかったため、過年度に実施したデータ分析や国内での聞き取り調査などに基づく研究成果を学会誌や専門誌に発表した。 具体的には、ロシア極東の経済特区における産業クラスター形成の可能性について研究するために、産業クラスターに関する先行研究をレビューすることで理論的な枠組みや仮説の構築を行った。また、日本におけるロシア産水産物輸入状況の聞き取りのため、山口県下関市と北海道根室市で調査を実施しながら、各種統計の分析に基づき、日本、ロシア、韓国間の水産物取引(特にヤマトシジミ)に焦点を当てて、研究成果を発表した。さらに、中央アジアのウズベキスタンで過去に実施した現地調査に基づいて、同国の国家語のウズベク語と中央アジア地域の共通通商語であるロシア語の関係性を分析しながら、新制度学派の取引費用論や比較制度分析の制度的連結及び制度的補完性の議論に言語的要素を取り入れる分析モデルを提起した。 その一方で、対ロシア経済制裁の影響を経済的に分析するために、2014~2021年に関するロシアの企業レベルのデータに基づく生存時間分析を実施し、その研究成果を発表した。これとあわせて、今般の戦争の社会的な影響を分析するために、ロシアにおける社会意識、特に若者の社会意識(Z世代)に焦点を当て、世論調査などを利用しながら、中間的な成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシア・ウクライナ戦争の勃発により、ロシア及びウクライナへの渡航を前提にした現調調査が不可能になったため、当初予定していた研究計画の変更を余儀なくされた。また、対ロシア制裁の段階的な強化に伴い企業データベースの利用更新に必要な決済が困難になったため、様々な対応策を試みたが十分なデータ収集ができず、最終的には研究計画を大幅に変更せざるを得なかった。本研究の遂行には、各種データベース(法人登録、会計報告、企業財務など)を利用したデータ収集と分析が不可欠であるため、現地研究協力者と連携して最新の情報収集を個別に行いつつ、代替可能なデータベースを利用する必要が生じたことも遅れの理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度の本年度は、ロシア・ウクライナ戦争勃発後のロシア向け経済制裁の発動に伴い、当初予定していた現地調査やデータ収集・分析が十分にできなかったため、今後は代替アクセス手段(カスペルスキーVPNなど)を用いたデータ収集を試みつつ、現地研究協力者と連携して最新の情報収集を個別に行う予定である。 コロナ禍の終息を受けて、海外渡航を伴う現地調査が基本的に可能になることから、主に中央アジア地域でデータ収集やヒアリング調査を行いながら、ロシア語圏市場としての実態の検討をあわせて、海外直接投資(FDI)や企業動向に関する分析を踏まえて、中間的な研究成果を発表する予定である。他方で、ロシアへの渡航や現地での調査実施は、現時点では困難であるため、対ロシア「経済協力8項目」の経済効果の検証を進めるために、国内でヒアリング調査を行いつつ、最新情報の収集と分析に従事する。 ロシア政治・経済の動向は流動的であるため、タイムリーかつ慎重な研究成果の発表を心がける。さらに、ロシア・ウクライナ戦争の発生に伴い、ロシア語圏市場から急速に離脱しつつある国々(特にウクライナとバルト三国)や、逆に結びつきを強めている国々(ジョージアやグルジアなど)の動向を検討するために、現地出身者へのインタビュー調査を実施する方向で調整中である。
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Research Products
(12 results)