2022 Fiscal Year Annual Research Report
A proposal for the stroll around town support method for people with difficulty walking and plans for expanding nationwide
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22H03897
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
古賀 元也 崇城大学, 工学部, 准教授 (30635628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亜原理 有 崇城大学, 情報学部, 准教授 (20581599)
松原 誠仁 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (60515782)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 車いすナビ / 交通弱者支援 / バリアフリー / 福祉のまちづくり / 支援システム / PLATEAU |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終目標は,健常者だけでなく,身障者,妊婦,幼児帯同者,高齢者といった交通弱者も含めたすべての主体がまちなか活動を楽しむことができる福祉のまちづくりの実現である。本研究の対象地である熊本市では,2021年に熊本市移動円滑化推進協議会を設置し,だれもが移動しやすく暮らしやすい多核連携都市の実現を目指し,面的・一体的なバリアフリー化を進めるためのバリアフリーマスタープランの策定に取り組むなど,福祉のまちづくりの実現に向けた機運が高まりつつある。一方,わが国では2020年度より,現実の都市を仮想空間に再現し,オープンデータとして様々な分野での活用を推進する「Project PLATEAU」が取り組まれている。しかし,そのデータの活用方法においては現在,模索の段階である。そこで本研究(2022年度,初年度)において,福祉のまちづくりの実現に向けた基礎的な取り組みとして,熊本市中心市街地のバリアフリーに関する基礎調査(交通弱者のまちなか活動に求められる設備,安全なまちなか回遊のためのバリアフリー整備状況の現状を把握する)とPLATEAUを活用したバリアフリー情報のデータベース化に取り組んだ。 交通弱者の店舗の利用可能状況については,熊本市中心市街地の4,094店舗のうち373店舗が利用可能,251店舗が条件付きで利用可能,1,881店舗が利用不可能であり,調査した店舗の15.2%が利用可能であることが分かった。条件付きで利用可能な店舗に関しては,「介助者がいれば利用可能」や「事前に連絡があれば利用可能」だった。また,一方で,45.9%の店舗が利用不可能であった。その理由として,店員がサポートできない,エレベーターがない,店舗内に段差がある等が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
熊本市中心市街地のバリアフリーに関する基礎調査では,熊本市中心市街地59.48ha内のテナントビル,百貨店等の940棟,4,094件を対象とした。調査項目は,交通弱者のアクセシビリティに焦点を当て,(1)建物の入口の段差,(2)建物内のエレベーター(EV)の有無,(3)店舗内の授乳室の有無,(4)店舗内の多目的トイレの有無,(5)店舗の入口の段差の有無,(6)交通弱者が利用可能かどうかであり,現地調査を実施し,対象地のバリアフリー関連設備,整備状況の情報を収集し,GIS上に整理し,分析した。 また,PLATEAUにプログラミングを組み込み,調査結果データ(GISデータ)をデータベース化した。データベース化した結果について分析し,PLATEAUの活用の可能性について考察し,本研究をまとめた。 本研究では,当初の予定になかったPLATEAUのデータを活用し,熊本市中心市街地のバリアフリー整備状況の三次元データベース化の手法を提案し,試みた。データベース化の手法は以下の通りである。(1)PLATEUのデータをゲーム開発プラットフォームUnityにインポートし,PLATEUのデータを表示した。(2)PLATEAUの建物IDに調査結果データをアドレスマッチングさせ,属性別表示(色による分類)させるプログラムを開発し,PLATEUに組み込んだ。(3)調査結果を三次元データベース化し,熊本市中心市街地のバリアフリー整備状況を可視化した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度(2年目)は熊本市のバリアフリーマスタープラン策定のプロセスに向けた取り組みとして,(1)熊本市中心市街地に加え,熊本駅周辺エリア,水前寺エリア,健軍エリアの計4地区を対象にバリアフリー整備状況を調査,分析する,(2)バリアフリー点検マップ作りを支援するアプリを開発し,交通弱者が参加する福祉のワークショップを実施し,交通弱者のバリアフリー整備に関する意見,提案をまとめる,(3)視覚障がい者に対する支援として,熊本市中心市街地のアーケード街を対象にAR点字ブロックを開発し,実証実験を実施し,有用性を検証する,(4)対象エリアの店舗に対し,交通弱者の利用に関するアンケート調査を実施する。 なお,4地区を対象としたバリアフリー整備状況では,建物と通りを対象としている。建物に関するの調査項目は,建物の入口の段差,建物内のエレベーター(EV)の有無,店舗内の授乳室の有無,店舗内の多目的トイレの有無,店舗の入口の段差の有無である。また,通りに調査については,歩道の有無,歩道の幅(最大,最小),路上の設置物(ポラード,街路樹,看板等),点字ブロックの有無,歩道の整備,路面の整備状況等である。 以上4点のプロセスを経て,熊本市のバリアフリー整備の在り方を提言し,さらに交通弱者支援の在り方をまとめ,支援システムの設計に取り組む。
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