2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Utility of Force in Contemporary Diplomacy: A Diachronic and Synchronic Approach to Middle-Range Theory.
Project/Area Number |
23H00791
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
溝渕 正季 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (00734865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合六 強 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 准教授 (10802910)
小泉 悠 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10817307)
齊藤 孝祐 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40721436)
大澤 傑 愛知学院大学, 文学部, 講師 (40843983)
山崎 周 東洋大学, 国際学部, 講師 (70838135)
相澤 李帆 防衛研究所, 理論研究部, 研究員 (70933349)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国際政治 / 国際安全保障 / 戦略論 / 軍事力 / 強制外交 / 権威主義体制 / 非国家武装勢力 / 科学技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、外交政策・政治戦略の一手段として限定的かつ複合的な軍事力が行使される事例が 急増しつつあり、軍事と外交の関連性についての関心が学術的にも政策的にも高まってきて いる。本研究の目的は、現代外交における軍事力の効用という問題について、過去(特に冷 戦期)の諸事例との比較や諸理論を参照することでその歴史的変化や現代的特徴を炙り出す(通時的研究)と共に、現代の諸事例間の比較を行うことで一般化された傾向/理論を探究する(共時的研究)ことで、実証的かつ体系的な理解(中範囲理論の構築)へと繋げることである。本研究の特徴は、先行研究から導かれた既存の仮説をベースとして、複数の地域・ 領域専門家による共同研究を通じて比較事例研究の視点を導入し、現代外交と軍事力の関係に係る知的基盤を構築した上で、最終的な研究成果を政策提言へと繋げることである。 2024年度(本研究課題1年目)においては、メンバー各自がそれぞれの専門分野について個別に論文を発表してきたことに加えて、全体での研究会を4回開催した(それぞれの研究会における報告者・タイトルは以下の通りである)。 第1回研究会:溝渕正季「現代外交における軍事力の効用:論点整理」(2023年4月28日)、第2回研究会:山﨑周「中国の武力行使躊躇の背景と軍事力の効用:国際的な構造及び国内要因の影響」(2023年6月29日)、第3回研究会:泉川泰博(青山学院大学)「戦略環境変革期の東アジアにおける同盟政治と軍事力」、相澤李帆(防衛研究所)「冷戦後の米国の対中政策と軍事力の使用」(2023年9月10日)、第4回研究会:大澤傑「政治体制の個人化と軍事外交」(2024年1月24日) これらの研究会での議論を通じて、現代外交における軍事力の効用という問題について、メンバー間で論点や問題意識を共有することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年度には、当初の予定通り、4回の研究会合を開催することができた。また、研究メンバーも各自で精力的に論文を発表してきた(各自の業績一覧については以下を参照)。こうしたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2025年度には、前年度と同様に4回の研究会合を開催すると共に、メンバー各自でそれぞれの専門分野に関する論文発表を進めていく。加えて、9月にはワシントンDCで有識者・政策決定者たちに対して集中的なインタビュー調査を行う予定である(訪問先として、カーネギー国際平和財団、ブルッキングス研究所、外交問題評議会、ランド研究所、ハドソン研究所、戦略国際問題研究所、新アメリカ安全保障センター等を予定している)。 なお、本報告書執筆時点で、ロシアによるウクライナ侵攻は依然として終わりが見えず、また2024年10月に始まったハマース・イスラエル紛争についても終結の見通しは立っていない。ユーラシア大陸におけるこれら2つの戦争は、本研究課題においても核となる研究テーマであるため、それぞれの紛争の趨勢次第では、研究計画の微調整はありうる。
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