2023 Fiscal Year Annual Research Report
「科学・公民」教育としての気候市民会議プログラムの開発
Project/Area Number |
23H01020
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 絵香 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (30420425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 直之 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00422014)
田村 哲樹 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30313985)
村上 正行 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (30351258)
水町 衣里 大阪大学, 社会技術共創研究センター, 准教授 (30534424)
川上 雅弘 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (30569231)
江守 正多 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (80300846)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 科学教育 / 公民教育 / 気候市民会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学教育研究と、脱炭素社会にむけた取り組みとして国内外で広がりつつある「気候市民会議」に関する実践研究の融合により、「科学・公民」教育としての「気候市民会議プログラム」を開発することを目的としている。R5年度においては、主に、以下の3つの観点から研究を含めた。 (1)民主主義と公共の観点からの気候市民会議の理論的検討:国内で展開される気候市民会議の参与観察、および実施者や市民へのインタビューを通じて、そこで営まれる熟議についての分析を行った。 (2)科学教育の観点からの情報提供資料・議論ツールの作成のためのネットワーキング構築:プログラムを導入する対象として想定される高校教育現場や高大接続の現場における科学教育や公民教育のあり方についてのインタビュー調査を行った。また「気候市民会議の多様な開催を考える」というタイトルで合計2回のワークショップを開催し、学校関係者、国・地方自治体職員、市民団体関係者、企業関係者などが一堂に会して、それぞれが有する課題を共有する機会を設けると同時に、ツール開発についてのアイディアを共有した。 (3)科学教育の観点からの情報提供資料の作成:また気候変動問題について市民(公民)として考える際には、多岐にわたる専門分野からの情報提供が必要であるが、これをすべての現場で用意することの障壁は高い。この解消および、人的・金銭的コストの抑制を目的として、気候市民会議の多様な開催を考えるために必要な情報提供資料(動画5本)を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)民主主義と公共の観点からの気候市民会議の理論的検討については概ね順調に進んでいる。R5年度は、国内で複数の気候市民会議が進行していたが、事前・当日・事後において、参与観察やインタビューを進め、データを収集すると同時に、分析を行なった。 (2)科学教育の観点からの情報提供資料・議論ツールの作成についても、概ね順調に進んでいる。R5年度は、開発したプログラムを導入する対象として想定される高校教育現場や高大接続の現場における科学教育や公民教育のあり方についてのインタビュー調査を行った。それと同時に、ワークショップ「気候市民会議の多様な開催を考える」において、ツール開発についてのアイディアを共有するなどしながら、検討を進めている。また、気候市民会議の多様な開催を考えるために必要な情報提供資料(動画5本)についてはR5年度に完成し、公開の準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度においても引き続き、国内で展開される気候市民会議の参与観察、および実施者や市民へのインタビューを行い、そこで営まれる熟議についての分析を行う。また、科学教育の観点からの情報提供資料・議論ツールの作成については、特に、議論ツールについての作成を進め、高大接続プログラムをはじめとする現場での試験的利用を行う予定である。 上記を踏まえ、R6年度後半からは、気候市民会議プログラムの施行版を作成し、ネットワークがある高校や、また研究代表者が関わる大阪大学の高大接続プログラムでの運用を目指す。 また、学校を含む多様なステークホルダーとのネットワーキング構築(ワークショップ開催)はR6年度も継続予定である。培ったネットワークとツール開発の両方をより効果的に進める予定である。
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