2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of transmissive light diffuser that combines "brightness, wide angle, and no color dispersion" learned from the disorder in creatures
Project/Area Number |
23H01878
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 彰 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90294024)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 光拡散シート / モルフォ蝶 / ナノ構造 / 乱雑さ / 回折広がり / ディフューザ / 透過 / ナノインプリント |
Outline of Annual Research Achievements |
従来にない「ナノ構造の回折広がりによる光ディフューザ(モルフォ型ディフューザ)」は、30 cm角サイズを実現し、実用への足掛かりを得た。これらは「高透過率、広角拡散、低い色分散」を並立するものである。さらに、1.ロータス効果(ハス葉のナノ凹凸に基づく撥水効果)による防汚機能も本ディフューザに付与でき、2.ナノインプリントで作製した樹脂製ディフューザに対し、機械強度増大をもたらすガラス保護の影響評価(透過率への影響は小さく、効果あり)、3.単ステップ構造とは異なる「2段ステップ構造」に基づく別の構造デザインの検討と検証(主にシミュレーション)、などの成果も得られた。これらの中には、当初計画を上回る成果と言えるものが複数、含まれている。またそれらの開発過程で、KrFステッパによる方法論、ロータス効果増大のための構造設計、機械強度の検討、実用性の「窓」実験、など、当初計画を上回る成果もいくつか得られた。さらに、それらの具体的な成果発表として、学術誌・国際会議発表ともそれぞれ複数を数えている。加えて上記の成果の中で、本ディフューザについて、周辺・関連分野も含む学術面・応用面双方からの視野で、根本的な検討・分類を行っている(ディフューザ自身、「内部散乱型」「表面凹凸型」に分類でき、その拡散原理も散乱・屈折・回折に分類できる)。そして上で得られた結果は、Roll to Rollによる実用への検討も視野に入っている。このため、産業面でも今後の進展へのきっかけになる重要なポイントを含んでいる。本結果は、本研究での種々の成果を足掛かりに、別の構造設計、また防汚など機能の付与、別のナノ構造作製法の導入などへの発展が期待でき、さらに「大面積とナノインプリント複製」による量産化を通じた実用化へと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目論見どおり「高透過率、広角拡散、低い色分散」を並立する光拡散シートの開発を進められた。左記の条件を満たす、従来にない「ナノ構造の回折広がりによる」光ディフューザ(モルフォ型ディフューザ)は、30 cm角サイズを実現し、実用への足掛かりを得た。さらに、1.ハス葉のナノ凹凸に基づく撥水効果による防汚機能も本ディフューザに付与でき、2.ナノインプリント製の樹脂ディフューザに対し、機械強度増大をもたらすガラス保護が有効であると評価でき(透過率への影響は小さい)、3.単ステップ構造と異なる「2段ステップ構造」に基づく新たな構造デザインの検討と検証(計算で確認)、などの成果も得られた。またそれらの開発過程で、KrFステッパの方法論、ロータス効果のための構造設計、機械強度の検討、実用性「窓」実験、など、当初計画を上回る成果もいくつか得られた。ただし、全体像に鑑みて評価自体は冒頭の通りにした。さらに、それらの具体的な成果発表として、学術誌・国際会議発表ともそれぞれ複数あり、そこには関連分野を代表する国際会議の招待講演も含まれる。加えて上記の成果文献では、本ディフューザについて、周辺分野も含む学術面・応用面双方の視野で、根本的な整理を行い、見通しを良くしている(ディフューザは「内部散乱型」「表面凹凸型」に分類でき、その拡散原理も散乱・屈折・回折に分類できる)。そして上で得られた結果は、Roll to Rollによる実用への橋渡しにもなる。このため、本成果は産業面でも今後の進展につながる重要なポイントを含んでいる。本研究での種々の成果を足掛かりに、別の構造設計、また防汚など機能の付与、別のナノ構造作製法の導入などへの発展が期待でき、さらに「大面積とナノインプリント複製」による量産化を通じた実用化へと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下に箇条書きで述べる。1)現行の不具合解消: 不具合は、コリメート光源下での輝点・十字線発生である。設計と作製過程の検討で、十字線は構造パターン対称性の工夫で解消し、輝点も改善した。下の第3'項目の工夫により、輝点のさらなる改善を試みる。 2)トレードオフ打破の限界探求: 従来の光拡散板では「明るさvs広がり」の間にトレードオフがある。その打破は現行の等研究でも達成しているが、限界を探求する。本手法では光拡散は散乱でなく回折によるため、原理的に透過と拡散を並立できる。よって、理想特性は総合透過率90%、光拡散係数90%、である(値は従来の、各独立変数での最高値)。ただし設計パラメータは複数あり、Trial&Errorの調整が必須で、時間をかけて最適化を行う。一方、対策として次項の設計高度化を同時に行う。 3)照明と2)に向けた、設計・制御の高度化: 最近光特性からナノ構造を逆に求めるInverse法(逆設計)が注目されている。最適解を得るため本手法を援用する。 3')2段ステップ構造による高度化: 3)の逆設計と並行して、別の高度化を試みる。つまり、1)の「面内2D乱雑さ」で用いた「単ステップ構造」に、改善の余地を見出す。これを「2段ステップ構造」にすることで、特性改善できる可能性がある(シミュレーションで確認)。本構造は、「乱雑3D深さの高アスペクト比」は不要なので、単ステップと同様にリソグラフィで実現可能で、単ステップよりも乱雑さを増やせるのが利点である。 4)防汚: 光素子に重要な防汚につき、さらなる機能向上を試みる。ナノ凹凸構造にはハスの葉の撥水でよく知られるLotus効果があり、本ナノ構造も同効果を有する。ただし撥水特性は凹凸面積比に依存し、光特性を損なわずに凹凸比最適化を行う必要がある。また撥水材料の選択とあわせて工夫する。
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