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2023 Fiscal Year Annual Research Report

植物病原糸状菌が分泌する細胞外小胞による物質輸送の分子基盤

Research Project

Project/Area Number 23H02217
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionSetsunan University

Principal Investigator

田中 茂幸  摂南大学, 農学部, 講師 (30785481)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 竹下 典男  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (20745038)
芳本 玲  摂南大学, 農学部, 講師 (70595652)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2027-03-31
Keywordsトウモロコシ黒穂病菌 / 細胞外小胞 / エクソソーム / 長鎖ノンコーディングRNA / 植物病原菌
Outline of Annual Research Achievements

植物病害の原因である病原性糸状菌は、感染時にエフェクタータンパク質とよばれる分子を分泌する。これが植物細胞内で機能することで、植物細胞の機能変化を引き起こし、糸状菌の感染を促進する。特に、生きた植物細胞に感染する活物寄生を行う糸状菌は、植物細胞膜を破壊しないため、侵入した菌糸は植物細胞膜に包まれている。これまで、このような関係において、なぜエフェクタータンパク質が植物細胞膜を通過し細胞内へ移行できるかは不明であった。本研究では、トウモロコシに感染する活物寄生性の糸状菌であるトウモロコシ黒穂病菌を実験材料にして、本菌が分泌する細胞外小胞に着目した研究を行う。
細胞外小胞にはエフェクタータンパク質や機能未知長鎖ノンコーディングRNA(lncRNAs)が含まれ、また植物細胞膜との膜融合を介して内容物を細胞内へ送り込んでいる可能性が示唆されている。さらに、細胞外小胞上のインテグリン様膜タンパク質ILP1が、この膜融合を媒介することが示唆されている。そこで、2023年度では、①このILP1と相互作用する植物タンパク質の同定、②病原性に寄与するlncRNAの同定、③超解像顕微鏡による細胞外小胞の動態観察用の形質転換体構築を試みた。結果として、①については、植物細胞膜上に局在することが期待される植物タンパク質を得ることはできなかった。②については、病原性への関与が期待されるlncRNAを2種同定することに成功した。③については、ILP1-mEosFPを発現するコンストラクトを構築していたが、複数の想定外の問題により年度内には完成できなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2023年度では、①ILP1と相互作用する植物タンパク質の同定、②病原性に寄与するlncRNAの同定、③超解像顕微鏡による細胞外小胞の動態観察用の形質転換体構築、を試みた。①については、植物感染葉からILP1の共免疫沈降を行い、免疫沈降物のプロテオーム解析を通じて、相互作用タンパク質の検証を行った。しかし、植物細胞膜上に局在する分子を見つけることはできなかった。原因として、タンパク質が量的に少ない、結合が一過的である可能性などが考えられた。②については、高度に発現するlncRNA8種について、発現している遺伝子間領域の欠損株を作出し、病原性試験を行った。その結果、2種について、病原性の低下が観察されるものを同定することができた。③については、細胞外小胞に含まれるILP1をマーカーとして、超解像顕微鏡観察用の蛍光タンパク質であるmEosFPを融合したタンパク質を発現する菌株を作出することを試みた。しかし、得られた形質転換体でタンパク質の発現が見られなかった。原因追及を行ったところ、構築したプラスミドのプロモーター領域に欠損が存在していたことに起因することがわかった。現在は新規にプラスミドを構築し、形質転換体の作出を行っている。

Strategy for Future Research Activity

2023年度で行った、①ILP1と相互作用する植物タンパク質の同定、②病原性に寄与するlncRNAの同定、③超解像顕微鏡による細胞外小胞の動態観察用の形質転換体構築、については、今後以下のように進める。
①:ILP1を一過的にベンサミアーナタバコで大量発現させ、これと相互作用する分子を同定する方法を試みる。また、TuboIDを用いた近接標識法を利用した相互作用タンパク質の同定を試みる。
②:lncRNAと結合する分子を同定するため、lncRNA配列を合成し、感染葉ライセートからのプルダウン実験・プロテオーム解析・シーケンス解析を行う。
③:ILP1-mEosFP発現株の作出を行い、超解像顕微鏡により細胞外小胞の動態観察を行う。

  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] マックスプランク研究所(ドイツ)

    • Country Name
      GERMANY
    • Counterpart Institution
      マックスプランク研究所
  • [Journal Article] Novel Secreted Effectors Conserved Among Smut Fungi Contribute to the Virulence of <i>Ustilago maydis</i>2024

    • Author(s)
      Schuster M, Schweizer G, Reissmann S, Happel P, Assmann D, Roessel N, Gueldener U, Mannhaupt G, Ludwig N, Winterberg S, Pellegrin C, Tanaka S, Vincon V, Presti LL, Wang L, Bender L, Gonzalez C, Vranes M, Kaemper J, Seong K, Krasileva K, Kahmann R.
    • Journal Title

      Molecular Plant-Microbe Interactions?

      Volume: 37 Pages: 250~263

    • DOI

      10.1094/MPMI-09-23-0139-FI

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Mating Types of &lt;i&gt;Ustilago esculenta&lt;/i&gt; Infecting &lt;i&gt;Zizania latifolia&lt;/i&gt; Cultivars in Japan Are Biased towards MAT-2 and MAT-32023

    • Author(s)
      Chigira Yuka、Sasaki Nobumitsu、Komatsu Ken、Mashimo Kouji、Tanaka Shigeyuki、Numamoto Minori、Moriyama Hiromitsu、Motobayashi Takashi
    • Journal Title

      Microbes and Environments

      Volume: 38 Pages: n/a~n/a

    • DOI

      10.1264/jsme2.ME23034

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 4.5SH RNA counteracts deleterious exonization of SINE B1 in mice2023

    • Author(s)
      Yoshimoto Rei、Nakayama Yuta、Nomura Ikuko、Yamamoto Ikuko、Nakagawa Yumeka、Tanaka Shigeyuki、Kurihara Misuzu、Suzuki Yu、Kobayashi Takehiko、Kozuka-Hata Hiroko、Oyama Masaaki、Mito Mari、Iwasaki Shintaro、Yamazaki Tomohiro、Hirose Tetsuro、Araki Kimi、Nakagawa Shinichi
    • Journal Title

      Molecular Cell

      Volume: 83 Pages: 4479~4493.e6

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2023.11.019

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 植物病原糸状菌が分泌する細胞外小胞が寄生に果たす役割2023

    • Author(s)
      田中茂幸
    • Organizer
      日本生化学会
    • Invited
  • [Presentation] トウモロコシ黒穂病菌Ustilago maydisの病原性に関わるlncRNAの同定2023

    • Author(s)
      大谷ひなた、石田史子、山口美幸、芳本玲、田中茂幸
    • Organizer
      日本植物病理学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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