2023 Fiscal Year Annual Research Report
S100A8/A9-向転移とHRG-抗転移の細胞間・分子間クロストークの解明
Project/Area Number |
23H02748
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健一 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00711798)
近藤 英作 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30252951)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40518297)
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (50135943)
山内 明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80372431)
友信 奈保子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80967638)
村田 等 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (90579096)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | S100A8/A9 / HRG / 転移 / 阻害作用 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
S100A8/A9は受容体群を介して臓器遠隔転移を誘導する。それには、がん細胞そのものの受容体への作用、がん原発巣がん微小環境細胞群の受容体を介した作用、転移先臓器組織の細胞群への受容体を介した作用が複合的に関係してくる。S100A8/A9受容体は1つではなく複数存在するが、既知のTLR4とRAGEに加え、新規なものとしてMCAM, ALCAM, EMMPRIN, NPTNを同定できていることが代表者グループの強みである。これまでの研究からS100A8/A9-受容体群のがん転移促進メカニズムについては大きく前進したが、従来体に備わっていると予想されるS100A8/A9-受容体群抑制メカニズムについてはよくわかっていない。前回の研究からS100A8/A9を吸着して機能を不活化する血漿タンパク質HRGを見出し報告した。また、HRGには受容体が存在し、その受容体を介してもS100A8/A9-受容体群の活性化シグナルを抑制することもわかってきた。そこで、本研究ではその分子機構を明らかにすることを目指した。研究からRAGEを除くS100A8/A9受容体群すべての細胞外に結合してS100A8/A9の結合を遮断するタンパク質GAS1を同定することに成功した。GAS1はHRG刺激によってがん細胞から誘導されることも判明した。これには受容体が必要でその受容体(仮称X)を同定することにも成功した。本研究から、HRGはS100A8/A9のリガンド側のみならず受容体群側もGAS1誘導(HRG-Xシグナルにより発現誘導)を介して抑制する能力があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞において、HRGによるGAS1を誘導する受容体(仮称X)が明らかとなった。HRG受容体(仮称X)の下流信号伝達に関しては受容体の細胞質領域に結合するアダプタータンパク質の同定がまだできておらず、これに関しては現在解析中であるため、信号伝達の全貌はまだ不完全である。GAS1はRAGEを除くすべての受容体群TLR4, MCAM, ALCAM, EMMPRIN, NPTNの細胞外領域に結合し、S100A8/A9の受容体群への結合を拮抗遮断することが明らかとなった。またGAS1過剰発現メラノーマはS100A8/A9レスポンスに欠け、転移能を消失することが明らかとなった。以上の結果からおおむね順調に進展しているものと判断した
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Strategy for Future Research Activity |
原発巣(マウス同種同所移植モデル)と転移先臓器(肺と脳)に着目し、S100A8/A9-S100A8/A9受容体群(1)とHRG-HRG受容体(群)-GAS1(2)の分子群の発現細胞種プロファイルを行う。 がん細胞、がん微小環境内正常細胞群、転移先臓器内細胞群のどのような細胞種にこれらパスウェイの分子が転移前と転移後で発現しているかについて、シングルセル解析から明らかにする。 本成果のヒトでの反映性は臨床検体の免疫染色にて検討する。上記の(1)と(2)の連携についての細胞間クロストークが明らかになってくるものと期待される。
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Research Products
(31 results)
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[Journal Article] Lysyl oxidase-like 4 promotes the invasiveness of triple-negative breast cancer cells by orchestrating the invasive machinery formed by annexin A2 and S100A11 on the cell surface2024
Author(s)
Takahashi T, Tomonobu N, Kinoshita R,Yamamoto KI, Murata H, Komalasari NLGY, Chen Y, Jiang F, Gohara Y, Ochi T, Ruma IMW, Sumardika IW, Zhou J, Honjo T, Sakaguchi Y, Yamauchi A, Kuribayashi F. Kondo E, Inoue Y, Futami J, Toyooka S, Zamami Y, Sakaguchi M
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Journal Title
Frontiers in Oncology
Volume: 14
Pages: 1371342
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] S100A8/A9 とその新制御分子のバランスで成立するがん転移の機序解明2023
Author(s)
友信奈保子, 木下理恵, 合原勇馬, Ni Luh Gede Yoni Komalasari, Fan Jiang, 村田等, 山本健一, 山内明, 近藤英作, 豊岡伸一, 西堀正洋, 阪口政清
Organizer
日本組織培養学会第95回大会
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[Presentation] 亜鉛結合により活性化されるZEB1 転写因子の 乳がん進展における意義の解明2023
Author(s)
山本健一, 平林大輔, 丸山顕嘉, 友信奈保子, 木下理恵, Ni Luh Gade Yoni Komalasari, 村田等, 合原勇馬, 江帆, 山内明, 栗林太, 豊岡伸一, 井上裕介, 阪口政清
Organizer
日本組織培養学会第95回大会
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[Presentation] TLR4 accelerates bladder cancer progression upon interaction with S100A8/A92023
Author(s)
Fan Jiang,Acosta Gonzalez Herik Rodrigo, Nahoko Tomonobu, Rie Kinoshita, Yuma Gohara, Ni Luh Gede Yoni Komalasari, Ken-ichi Yamamoto, Hitoshi Murata, Akira Yamauchi, Shinichi Toyooka, Masami Watanabe, Yasutomo Nasu, Masakiyo Sakaguchi
Organizer
日本組織培養学会第95回大会
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[Presentation] Lysyl oxidase-like 4 exerts an atypical role in breast cancer progression that targets the cell-surface annexin A22023
Author(s)
Yoni Komalasari, Nahoko Tomonobu, Rie Kinoshita, Yuma Gohara, Kenichi Yamamoto, Hitoshi Murata, Akira Yamauchi, Futoshi Kuribayashi, Yusuke Inoue, Shinichi Toyooka , Masakiyo Sakaguchi
Organizer
第82回日本癌学会学術総会
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[Presentation] 糞便微生物移植治療から見出した腸内の放線菌の 生理活性評価2023
Author(s)
阪口義彦, 武晃, 後藤和義, 原正也, 友信奈保子, 山本健一, 菊池雄太, 坂本光央, 加藤はる, 大宮直木, 阪口政清, 永浜政博
Organizer
日本組織培養学会第95回大会
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