2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24229004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
斉藤 隆 独立行政法人理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, グループディレクター (50205655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多根 彰子(橋本彰子) 独立行政法人理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, 研究員 (10415226)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 抗原認識 / シグナル伝達 / 立体構造解析 / 免疫シナプス / イメージング解析 |
Research Abstract |
1. T細胞抗原受容体複合体の構造解析:TCR-CD3複合体の構造解析のために、複合体の全ての分子(TCRα, β, CD3γ, δ, ε, ζ)の膜領域を含むリコンビナント蛋白を無細胞合成系で作製することに成功した。各ダイマー(TCRαβ, CD3γε, δε, ζζ)の形成、大量調整へと発展させる。 2. TCRミクロクラスター(MC)の活性化シグナル:低濃度の抗原刺激ではcSMACが形成されず、更に低濃度(10nM以下)では、TCR-MCも検出できなくなる。この条件下でも、TCRを含まない LFA-1に依存したSLP76のクラスターが形成され、弱いTCR活性化シグナルを接着シグナルが補強する機能が考えられる。 3. 副刺激によるT細胞活性化制御:CD28はcSMACの領域「活性化cSMAC」に集積しPKCθ, CARMA1をリクルートして副刺激を誘導する。抑制性副刺激受容体PD-1のダイナミック制御を解析した。PD-1は活性化に伴ってTCR-MCに局在した後、活性化cSMACに集積した。PD-1 MCはSHP2をリクルートし、TCR活性化上流分子 シグナルを脱リン酸化して活性化抑制する。PD-1の細胞外領域の長さを変化させた変異体の解析から、PD-1が同一TCR-MCに存在することが活性化抑制に不可欠であることが分かった。抗原ペプチドを頻回免疫してPD-1+CD8+T細胞を誘導しin vivoでの抑制機構を調べた。このPD-1+T細胞はアナジー状態で、PD-1がミクロクラスターに共存して活性化抑制をするが、抗PD-L1抗体でPD-1/PD-L1の結合を阻害すると、PD-1はTCR-MCと局在できず、T細胞の抑制は解かれた。これからも、PD-1がTCR-MCに共局在することが活性化抑制に必須であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T細胞抗原受容体複合体の構造解析は、もっとも困難な課題であり、進行が遅れる可能性が考えられたが、全ての分子鎖の全長蛋白を無細胞系で作製に成功して進展した。TCRミクロクラスターを介する制御系では、cSMAC, TCR-ミクロクラスターの形成されない活性化でのインテグリンシグナルとSLPクラスターの解明などが進むとともに、一方では、抑制副刺激受容体PD-1を介するダイナミックな制御系に成功し、ダイナミック制御の理解に大きく進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
T細胞抗原受容体複合体の構造解析は、複合体全体の解析は即の課題でないので、まず単一鎖および各々ダイマーの形成と大量精製を進め、その構造解析に進めたい。TCRミクロクラスターのシグナル解析では、Ras活性化に代表する細胞内シグナル伝達のコンパートメン化の解析、Cblを中心にした蛋白分解による負の制御、などを進める。 唯一 in vivoでのT細胞活性化解析に向けての解析システムの開発が滞っているが、これは予定した活性化インジケーターとしてのFRET解析プローブがT細胞では上手く機能しなかったためて、新たなプローブに変換して克服すべくシステムを立て直しており、全体としては順調な進展が期待される。
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Research Products
(16 results)