2013 Fiscal Year Annual Research Report
知能化センサネットワークによる障害・高齢者の健康リスク管理技術の開発
Project/Area Number |
24240083
|
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
井上 剛伸 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 部長 (40360680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院(研究所併任) 障害者健康増進・スポーツ科学支援センター, センター長 (00392192)
廣瀬 秀行 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (10360679)
二瓶 美里 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (20409668)
外山 滋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究室長 (50360681)
硯川 潤 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (50571577)
児島 宏明 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80356980)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | せん断力センサ / 褥そう / 音響処理 / ロコモティブシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高齢者・障害者の健康リスクを監視し,リスクの上昇を探知してユーザにフィードバックする知能化センサネットワークの開発を目的としている.本年度は,統合システムのユーザインタフェースを設計・構築し,各種リスクの可視化プラットフォームを構築すると共に,以下のセンシング技術の開発を進めた. (1)高齢者の運動機能低下リスクに関する情報を得るためのセンサ:足音を分析して高周波帯域成分のパワーを抽出し,歩行周期を推定する音響処理システムを開発した.実際に家屋内で高齢者による模擬生活音を収録し,抽出精度の評価実験を行った.計221の歩行データのサンプルを用いて評価し,誤差50ms以内と100ms以内で各66.4%と85.5%の正解率が得られた. (2)車椅子使用者の褥瘡予防センサ:非接触距離センサ内蔵RGBカメラにより「除圧動作判別機能(車椅子使用者の動作が、除圧動作であるか否かを推定する機能)」について,その精度向上を目的として,健常成人7名を対象とした実験をおこない,判別式を改良した.また,臀部の濡れ消散機能評価センサを改良し, ISO16840-2で規定された臀部ダミーによるオムツの濡れ消散評価を試行し,部位による消散特性の違いが確認できた. (3)せん断力センサ:柔軟性のある材料のみからなる厚みの薄い剪断力センサの開発を行っており,本年度は厚みを約0.8mmまで薄くすることができた.特性評価試験では,せん断力に対して電極間インピーダンスの線型応答が得られている. (4)車椅子利用状況モニタリングシステム:臨床現場への介入実験の際に実施した調査の結果から,本人や介助者,看護者が必要とする車椅子上での日常生活サイクルを記録・提示できるものとし,病院や施設内での長期間利用に耐え,利便性が高いことを機能要件とし,それらを満たす無線式のデータログシステムを提案・開発した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,計画通り,センサ統合システムのユーザインタフェースを設計・構築し,各種リスクの可視化プラットフォームを構築することができた.これにより,健康リスクの監視とユーザへの介入を実現できることとなり,来年度の実証評価に向けての最終的な準備が完了したと考える. また,要素センシング技術である,i) 高齢者の運動機能低下リスクに関する情報を得るためのセンサ,ii) 車椅子使用者の褥瘡予防センサ,iii) せん断力センサ,iv) 車椅子利用状況モニタリングシステムについても,それぞれの完成度を高めると共に,実使用環境を想定した評価を進められている.リスク推定精度の向上や,センサプローブの特性・形状の改良などが達成できたことで,ユーザビリティの向上も期待できる. 以上より,概ね順調に研究計画を遂行できているものと判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでに開発した各種センシング技術とセンサネットワークシステムを統合し,住宅環境で運用することでその有用性を評価することを目的とする.また,各センシング技術が,健康リスクの監視に十分な効果を発揮することを実験的に確認する. まず,要素センシング技術である,i) 高齢者の運動機能低下リスクに関する情報を得るためのセンサ,ii) 車椅子使用者の褥瘡予防センサ,iii) せん断力センサ,iv) 車椅子利用状況モニタリングシステム,それぞれを構築したセンサネットワークシステムに接続し,サーバ内のデータベースを媒介した情報処理プロセスが遅滞なく進むことを確認する. 次に,非接触距離センサ内蔵RGBカメラ,マイクロフォン,ワイヤレス加速度・角速度センサ,重心動揺計,人感センサ,せん断力センサ,といったセンサ群を住宅環境に実装し,各システムの動作及び有用性を確認する. 最終的には,シナリオにもとづいて模擬ユーザが生活環境中を行動する中で,各システムが協調的に健康リスクを監視・通知できることを確認し,構築した知能化ネットワークシステムのフィージビリティを検証する.
|
Research Products
(4 results)