2012 Fiscal Year Annual Research Report
メイラード反応による安全性確保のためのデータベース作製
Project/Area Number |
24240096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
本間 清一 お茶の水女子大学, その他部局等, 名誉教授 (50017240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 敬子 日本女子大学, 家政学部, 助教 (00440074)
大塚 譲 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (20135833)
山本 祐司 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50240130)
中西 康博 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60246668)
鈴木 恵美子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (80154524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メイラード反応 / メラノイジン / メチルイミダゾール / LC-MS/MS / ピラジン |
Research Abstract |
食品を加熱するとメイラード反応により好ましい香りなどが付与されるが、アクリルアミドなどの危害物質も生じる。しかしメイラード反応は複雑でありどのような生成物が生じているかを網羅的に分析された例はほとんどない。一方LC-MS/MSによる化学成分の網羅的分析法の進歩は目覚ましい。そこで、本研究ではメイラード反応生成物を網羅的に分析し、安全性と栄養価の評価を組み合わせたデータベースを構築することとした。メイラード反応により生じることが知られているメチルイミダゾール、フルフラール、ピラジン類をLC-MS/MS(QTRAP-2000)を用いて分析するためのプラットフォームを作成した。コーラ類からはかなりの量のメチルイミダゾールが検出され、インスタントコーヒーでも検出された。カステラの黒色部分からも極わずかであるが検出された。一方ピラジン類は、ほとんど検出されなかった。牛乳タンパク質由来ペンタペプチドLEKFDのメイラード反応を解析しLys末端Nが糖化したペプチドではその両端のペプチドボンドで結合が切れている可能性をMS分析から推定した。またメチルイミダゾールの細胞に及ぼす毒性や、遺伝子発現への影響、細胞での代謝について分析を行った。 高分子のメラノイジンを低分子化する微生物を沖縄諸島でスクリーニングし、14株を得た。培養で分解・消失する高分子のピークと新たに生じる低分子成分との関係を示唆する菌株の存在を認め、培養の再現性を再検討した。微生物分解の基質はグルコースとアミノ酸のモデルメラノイジンとモラセス(廃糖蜜)メラノイジンを用いたが、モデル系メラノイジンの方が3D-HPLC分析で分解の判断が容易であった。またメイラード反応中間体のグリオキサール等のジカルボニル化合物類や牛血清アルブミン(BSA)と反応させて得られた生成物のHepG2細胞増殖への影響を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
食品成分が危害要因となる場合、まず成分間反応であるメイラード反応の寄与が考えられる。そこでメイラード反応により生じることが知られているメチルイミダゾール、フルフラール、ピラジン類をLC-MS/MSを用いて分析するためのプラットフォームを作成することを今年度の最重要課題とした。LC-MS/MS分析装置とODSカラムとを組み合わせることにより、これらの反応生成物の網羅的分析が可能となった。そこで市販のコーラ類からはかなりの量のメチルイミダゾールが検出されるなど、食品中のメイラード反応産物の網羅的分析のプラットフォームのひな形を作成でき、本年度の進捗状況は予想以上のものであった。 高分子のメラノイジンを低分子化する微生物を沖縄諸島でスクリーニングし、現在14株を得ている。その中にメラノイジンを分解する可能性のある菌株が得られ、予定以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在分析に用いているLC-MS/MSプラットフォームではイミダゾール類などの分析は行えるが、3DGやヘテロサイクリックアミンなどの網羅的分析はまだできていない。新しい機能のHPLC用カラム充填剤を用いて極性の高いものから、脂溶性の物質まで網羅的に分析できるプラットフォームの開発を行う。 メラノイジンを分解する微生物の可能性が示唆されたので、今後これらの微生物を培養し、分解酵素を調整し、その反応機構を検討していく。また蔗糖から生じるメラノイジンの特質、とくに果糖の役割、モデルメラノイジンを調製するpHと温度が微生物の分解作用に影響すると推定し、2Mグルコースとアミノ酸、0.2M重曹系以外の、食品の条件に近い調製法を考慮する。 メチルイミダゾールによる遺伝子発現を網羅的に解析するためにマイクロアレイ分析を行う。 タンパク質食品の加熱調理中のメイラード反応物質を網羅的に分析する。
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