2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた癌抑制遺伝子研究の新展開と応用
Project/Area Number |
24240120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10311565)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん抑制遺伝子 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
項目1:Hippo経路分子群の機能解析研究と癌治療戦略基盤の確立: Hippo経路のうちMATSに注目し、MATS1、MATS2各単独ホモ欠損マウスには表現型をみないが、MATS1/MATS2ダブルホモ欠損マウスは原始内胚葉の形成不良を示し、着床直後に致死となること、部分欠損マウスは皮膚外毛根鞘がん・骨肉腫・肝がん・乳がんなどがみられることを発見し報告した。さらに皮膚特異的MATS1/MATS2ダブルホモ欠損マウスは、毛髪周期に異常を示し、多くのマウスが離乳前後に致死となること、細胞増殖亢進、細胞死抵抗性、細胞接触抑制障害、未分化性亢進、中心体数増加をみることを報告し、ヒト皮膚外毛根鞘がんにおいても高頻度にMATSの発現抑制、YAP1の発現亢進をみることを報告した。またHippo経路のNF2に結合する分子を質量分析器で解析し、細胞増殖に関与するYAP非依存性のシグナル経路をも発見した(未発表)。さらにHippo経路を標的とする、薬剤スクリーニングシステムも新規に構築した。 項目2:p53を制御する核小体ストレス経路の鍵分子PICT1: これまでにPICT1はRPL11と直接結合し、PICT1欠損はRPL11を核小体から核質に局在変化させることにより、核小体ストレス経路を介してp53を増加させることを見出している。平成24年度にはT細胞におけるPICT1の機能を解析し、PICT1がT細胞の初期分化に重要であることを見出した(未発表)。 項目3: PTENの制御機構研究と癌治療戦略基盤の確立: PTEN結合蛋白質を探索し、Aktの活性化を抑制するPBP1を見出した(未発表)。PBP1欠損マウスには顕著な表現型を認めなかったが、PBP1と相同性の高いPBP2もPBP1と同様の作用のあることを見出した。そこで平成24年にはPBP2欠損マウスの作製を開始し、現在キメラマウスの作成までを終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに研究が進み、平成24年度にはインパクトの高いJournal of Clinical Investigationに研究成果を報告することができた。また、読売新聞・朝日新聞などで新聞報道もされ、広く国民に成果の報告ができたことから、概ね順調に進展しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Hippo経路分子群の機能解析研究と癌治療戦略基盤の確立:平成25年度は気管支や肝臓に特異的にMATS1/MATS2をダブルホモ欠損するマウスを作製し、これらの臓器におけるMATS1/MATS2の機能を明示する。さらに、Hippo経路を標的とする薬剤スクリーニング基盤をつくったので、これらを標的とする低分子化合物のスクリーニングも行う。 (2)p53を制御する核小体ストレス経路の鍵分子PICT1:平成25年度には,平成24年度に引き続きT細胞におけるPICT1の機能を、T細胞特異的PICT1欠損マウスを作製して明示する。さらにPICT1を標的とする薬剤スクリーニング基盤をも作製する。 (3)PTENの制御機構研究と癌治療戦略基盤の確立:PTEN結合蛋白質を探索し、Aktの活性化を抑制するPBP1,PBP2を見出した。PBP1欠損マウスには顕著な表現型は認められなかったが、PBP1と相同性の高いPBP2もPBP1と同様の作用のあることを見出したために、平成24年に引き続きPBP2欠損マウスの作製を行い、PBP1,PBP2の役割をin vivoで明示する。
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Research Products
(18 results)