2012 Fiscal Year Annual Research Report
アンジュレータ放射X線を用いた逆コンプトン散乱による準単色GeVガンマ線の生成
Project/Area Number |
24241035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
大熊 春夫 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 部門長 (60194106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 肇 東北大学, 電子光理学研究センター, 教授 (20178982)
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80212091)
大石 真也 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 主幹研究員 (30426522)
鈴木 伸介 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 主幹研究員 (00416380)
持箸 晃 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 研究員 (10342635)
田村 和宏 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (10360835)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 逆コンプトン散乱 / 高エネルギーガンマ線 / 量子ビーム / 加速器 / 準単色ガンマ線 / レーザー電子光 |
Research Abstract |
本研究の目的である「蓄積リングに設置したアンジュレータからの放射光を反射して、蓄積リングを周回する電子ビームとのコンプトン散乱により準単色のGeVガンマ線を生成する」ために、まず必要となるBragg反射ミラーマウント機構が組込み可能な超高真空仕様の「GeVガンマ線生成用ブラッグミラーチェンバ」の設計・製作を行った。 また、検討の結果、Bragg反射ミラーとして当初計画していたα-Al2O3完全結晶は、多数の背面反射結晶面を持つため、本研究の初期の背面反射面の確立、試験には必ずしも適していないと判断して、ダイヤモンド結晶を用いた場合の検討を進め、ダイヤモンド結晶の調達をした。背面反射の実験的検証として、既存の放射光実験用ビームラインにおいてSi(008)面による背面反射実験を行い、60%以上の反射率があることを確認した。このような、試験測定を必要なときに容易に行うことが重要であると考え、本研究を行うSPring-8の加速器診断ビームラインBL05SSに、分光器出射光を用いて結晶の反射・透過特性を測定する事が出来る環境整備を行った。このために必要であるベリリウム窓を真空遮蔽部に取付けた可動式真空遮断バルブの開発を行った。 成果発表としては、研究協力関係にあるカナダ、スカチュワン大学で開催された国際ワークショップにおいて、本研究概要の紹介、これまでの研究の進展について招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、予定していたBragg反射ミラーマウントシステムの設計、製作が進展しなかった。また、平成25年度の開発着手の前段階として平成24年度に検討を進める予定の複合屈折レンズについては、検討着手ができなかった。この理由としては、超高真空ミラーチェンバの設計、製作、およびその性能試験に予想以上の時間が必要であったことと、Braggミラーの仕様を最終的に決めるために、光子エネルギー10keV領域の分光した放射光を用いて、Bragg結晶の反射および透過特性を容易に測定できる環境が必要であるとの判断から、当初の予定になかった「ミラー反射・透過測定環境の整備」を行ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は平成24年度に整備したミラー反射・透過測定環境を利用して、Siミラー、ダイヤモンドミラーのBragg背面反射の反射率などの光学特性の測定を行い、製作した超高真空ミラーチェンバの中に組込むミラーマウント機構の設計・製作を早急に進める。また、ミラーの冷却システムの必要性を検討する。更にアンジュレータ放射光の背面反射光を集光するための光学系の設計を進め、仕様を確定できれば製作を行う予定である。 平成26年度には、加速器診断BL05SSにアンジュレータ放射光の反射および集光光学系を設置する。また、高エネルギーガンマ線の計測システムの整備を進める。 平成27年度は本研究計画の最終年度の当たるため、それまでに構築したシステムを用いた準単色高エネルギーガンマ線の計測、高出力化を行う。 研究の推進方策については大きな変更はない。
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