2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24242037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (10183063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 勝彦 関西大学, 経済学部, 教授 (50132329)
坂井 信三 南山大学, 人文学部, 教授 (00140012)
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
大稔 哲也 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (10261687)
鈴木 英明 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80626317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アフリカ史 / 世界史 / 交易史 / 奴隷貿易 / スワヒリ世界 / マリ帝国 |
Research Abstract |
平成24年度の交付金により、研究会を2度開催した。世界の他地域との関係で西アフリカと東アフリカの歴史を再考することが、その主目的である。 西アフリカ史においては、奴隷貿易がアフリカ大陸の諸社会に与えた影響と、奴隷貿易がヨーロッパ諸国の経済システムの変革を促した範囲を確定することがめざされた。アフリカは奴隷貿易の当事者となったが、それは従来いわれてきたようなアフリカの弱さや後進性が原因ではなく、むしろ西洋による直接的支配を拒んだという点で、アフリカ社会の強さの裏返しであったことが明らかになった。 東アフリカ史においては、スワヒリ世界の概念を再考することがめざされた。具体的には、大陸の内陸部とインド洋を中心にした海域世界との中間領域、ないしミドルマンとしてのスワヒリ世界の理解である。 2月に研究代表者である竹沢が西アフリカ・マリ共和国に行き、西アフリカ史の理解を深めるべく考古学発掘調査をおこなった。これによって、従来口頭伝承によってのみ構築されてきた13―14世紀のマリ帝国の歴史を再構成する手がかりを得ることができた。マリ帝国の領域での、広域の表面調査と数カ所での発掘によって、マリ帝国の時期の土器の特定にいたったことが最大の成果である。 今後は、この時期の土器が表面に見られる遺跡で発掘をおこなうことによって、マリ帝国下における都市の実態や商業ネットワーク、製鉄業や織物業、埋葬様式などの分活計タイの研究が一層進むものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に2回の研究会を開催することで、研究分担者や研究協力者とのあいだで相互理解が進んだ。今後は、研究会を継続して実施していくことで、「世界の中のアフリカ史」という当初の目標に沿った研究を進めていくことをめざしている。 今年度に各自がおこなった研究により、「アフリカ史研究叢書(仮題)」の第1巻のあらましが決定された。アフリカを構成する5地域の内、北アフリカに関しては、エジプト史とモロッコ史。西アフリカに関しては、地中海世界との交易史と大西洋奴隷貿易史。東アフリカに関しては、スワヒリ世界の形成と交流史。南部アフリカに関しては、毛皮貿易と世界システム論、および大英帝国と南部アフリカ史。これらを中心に構成することが決まったが、中部アフリカ史に関してはわが国で研究者が不足していることが最大の課題として残されていることが確認された。 今後はこの欠落を埋めると同時に、ある程度の成果を見込めることのできる他地域での歴史研究を推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
わが国のアフリカ史研究の一層の進展に寄与することが本研究の目的であるが、「現在までの達成度」のところで書いたように、中部アフリカ史の研究者がわが国ではほとんどいないことが最大の課題として浮かび上がってきた。 この分野における研究の欠落を埋めるべく、わが国の研究者の一層の奮起を求めるか、あるいは海外の研究者を招聘する、研究論文の寄稿を求める、などの措置が必要であろう。 今後は、「アフリカ史研究叢書(仮題)」の第1巻として『世界の中のアフリカ史』の出版に向けて鋭意努力していくとともに、第2巻、第3巻、第4巻の内容を詰めていく予定である。
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Research Products
(4 results)