2012 Fiscal Year Annual Research Report
未公開資料群に基づく二院制の比較憲法史的研究-議院運営実務と議会官僚の衡量過程
Project/Area Number |
24243004
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大石 眞 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90091660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 一明 横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (50244405)
大山 礼子 駒澤大学, 法学部, 教授 (70275931)
村井 良太 駒澤大学, 法学部, 准教授 (70365534)
木下 和朗 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (80284727)
赤坂 幸一 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90362011)
奈良岡 聰智 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90378505)
|
Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
|
Keywords | 憲法 / 議会法 / 憲政史 / 議院運営 / 議会官僚 |
Research Abstract |
本研究は、申請者グループが発掘した膨大な未公開資料群(衆参両院事務局等所蔵)の本格的な活用を通して、(1)わが国の憲政史における両院関係の展開を実証的に再検証し、(2)両院間調整を規律する議会法・議会先例の形成・確立過程を明らかにするとともに、(3)それらを支えた議会事務局の機能や議会官僚の役割を解明することを目的とするものである。そのため当年度は、①両議院事務局等所蔵資料の整理・保全、②二院制に関する実証研究の開始、③重要資料の出版準備、④研究成果の共有と発信のための研究会の開催を、具体的な研究実施計画として掲げた。 これらのうち、とくに①・②・③は相互に密接に関係しているが、参議院所蔵「貴族院彙報」と掛川市教育委員会所蔵「河井彌八日記」等の整理・翻刻を進めることにより、本格的な内容分析への基礎を固めるとともに、出版・公表に向けた作業を進めることができた。また、②については、現行憲法の制定過程における両院制構想を再検討するとともに、両院間の調整プロセスを含む議会運営実務を衆議院の側から克明に記した画期的な資料である衆議院「庶務課日誌」などについて、細目録の作成とデジタル撮影を進めることができた。 さらに、④については、東京全体会を1回(12/21)、京都分科会を2回(12/1、3/2)、掛川分科会を1回(3/16-17)、それぞれ開催し、研究成果の共有と発信に当たった。とくに東京全体会では、貴族院で憲法制定に携わった関係者が内密に行った憲法研究会の膨大な速記録である「月曜会」「萍憲法研究会」文書の検討を開始し、これを現に所蔵する参議院の関係者との意見交換を行うなどして、その意義を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、上記のように、(1)わが国の憲政史における両院関係の展開を実証的に再検証し、(2)両院間調整を規律する議会法・議会先例の形成・確立過程を明らかにするとともに、(3)それらを支えた議会事務局の機能や議会官僚の役割を解明することを目的としている。 本研究が追加採択となったことによる研究会活動の縮小、実証研究の要となる「貴族院彙報」の一部撮り直しや「河井彌八日記」などの基礎資料の膨大さによる整理・検討の遅れなどが生じたものの、研究実施計画の多くは当初の予定に近い進捗状況にあることから、当初研究目的との関係からみると、おおむね順調に進展しているものと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、両議院事務局等の所蔵資料の整理・保全、②二院制に関する実証研究及び③重要資料の出版準備は、相互に密接に関連しているが、膨大な基礎資料等の全容の解明とその整理・検討については、資料所蔵者の継続的な協力とともに資料の整理・翻刻に当たる大学院生等の補助者の協力もすでに取り付けているので、第一年度に生じた遅れを取り戻すことによって、研究活動を積極的に進める目途が立っているので、着実に研究計画を実施することができる。 また、年度当初から活動を開始することのできる今後は、研究計画の変更などをとくに考えることなく、定期的・継続的に研究会を開催するなどして、研究成果の共有と確認を図ることにより、本研究課題の追求に向けて邁進することができる。
|