2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和田 肇 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30158703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐津 博 南山大学, 法務研究科, 教授 (40204656)
矢野 昌浩 龍谷大学, 法学部, 教授 (50253943)
根本 到 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60304135)
緒方 桂子 広島大学, 法務研究科, 教授 (70335834)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 標準的労働関係 / 非正規雇用 / ディーセントワーク / 雇用対策 / 持続可能性 / 日独比較労働法 / 日韓比較労働法 |
Research Abstract |
「標準的労働関係モデル」を中心とした労働法、社会保障法の再構築という課題について、日独比較法研究と日韓比較法研究を横軸に、そして非正規雇用問題を縦軸にした研究を実施した。特に2013年度に大きな実績を上げたのは、①2010年度以降継続してきた日韓比較労働法研究について発展的な研究が行えたこと(テーマは個別労働関係紛争の解決システム)、②標準的労働関係モデルについてドイツで深紅的な研究を行っているWaltermannボン大学教授との共同研究を遂行したこと、③非正規雇用の典型例である労働者派遣について研究の中間総括ができたこと(法改正が進行中のため中間報告となっているが、基本的な議論の総括的検討ができている)、④失業だけでなく限りなくそれに近い「半失業」についても視野を広げた雇用保険分野での研究が進捗したことである。 標準的労働関係という周辺概念である「雇用社会の持続可能性」、「ディーセントワーク」等も視野に入れ、新たな労働法パラダイムの展開についての研究が相当程度進展した。とりわけ持続性概念を取り入れることによって、グローバルな視点と学際的な視点での研究が発展している。 ILOが提起している「ディーセントワーク」、G20首脳宣言が示している「質の高い雇用」あるいはかつての労働経済白書が示している「厚い中間層の形成」といったテーマは、国際的にみて問題が共通であることを示しており、その点からの比較法研究が大きく展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共同研究の大きな研究成果が出ている。①和田肇・脇田滋・矢野昌浩編『労働者派遣と法』(日本評論社、2013年6月)、②西谷敏・和田肇・朴洪圭編『日韓比較労働法I、II』(旬報社、2014年1月)、③矢野昌浩ほか7名「特集 労働法・社会法理論のレジティマシー」法律時報86巻4号(2014年3月)、④藤内和公(連携研究者)『ドイツの雇用調整』(法律文化社、2013年6月) 第7回日韓労働法フォーラムの開催(2014年2月、九州大学にて、韓国側参加者15名、日本側参加者30名)、日独比較シンポの開催(2013年9月、京都私学会館にて、Waltermannボン大学教授の講演とディスカッション、参加者15名)、いずれも近日中に雑誌で公刊予定
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Strategy for Future Research Activity |
①非正規雇用のうち有期雇用とパート労働に焦点を絞り、均等処遇と雇用の安定化について研究を進める。労働者派遣については、法改正が予定されているので、それに対応した検討を行う。 ②セーフティネット論の研究がこれまで十分でなかったので、社会保障法学者も交えた研究を進めていく。 ③「標準的労働関係モデル」の持つ意味について、具体的な提言を行うための研究を実施する。 ④比較法研究が重要(本研究の重要な柱)なので、引き続き日韓比較労働法研究と日独比較労働法研究を実施する。と同時に今まで弱かったフランスや他のEU加盟国の研究にも着手したい。
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Research Products
(15 results)