2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲葉 馨 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10125502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 俊哉 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00160151)
飯島 淳子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00372285)
櫻井 博子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (00620212)
白井 正和 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10582471)
渡辺 達徳 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20230972)
阿部 裕介 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20507800)
坂田 宏 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40215637)
深澤 泰弘 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (40534178)
清水 真希子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50302641)
中原 茂樹 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60292819)
和泉田 保一 山形大学, 人文学部, 准教授 (60451655)
内海 博俊 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70456094)
生田 長人 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 名誉教授 (80333772)
島田 明夫 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50524691)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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Keywords | 大規模災害 / 災害対策 / 復興 / 防災法 |
Research Abstract |
公法制度検討グループ、私法制度検討グループ、金融・物流制度検討グループごとに、各自の専門分野における法解釈論・立法論の視点から、実態の把握と課題の整理につとめるという第一段階の研究計画に沿って研究を進めたが、採択時期が遅かったため、情報収集と現状認識の獲得を中心とすることになった。広く、東日本大震災に関連する出版物の収集につとめると共に、「災害と法」に関連する内外の文献を購入した。また、村井嘉浩宮城県知事にインタビューを行い、東日本大震災への初期対応、「復旧・復興」に向けての現状認識と今後の課題等について貴重な情報を得ることができた(その一端については、村井嘉浩=稲葉馨「東日本大震災からの復興」ジュリスト1449号(2013年1月)ii~iv頁、64~69頁に掲載されている)。さらに、公法制度検討グループにおいて研究会「災害関係法制の課題と改革の方向」(報告者、生田長人名誉教授)を開催する(2013年1月19日)一方、私法制度検討グループと金融・物流制度検討グループを中心として、石巻市在住の前田拓馬弁護士を招き、「石巻における被災者支援としての司法サービスの現状」をテーマとする研究会を実施した(2013年3月13日)。 本研究課題の採択内示があった2012年10月以降において、個々の研究者により公表された研究成果として、稲葉馨「『復興』論について考える」・島田明夫「公共政策大学院における災害法制の研究と復旧・復興への提言」(いずれも、稲葉馨=高田敏文編『今を生きる 3・法と経済』2012年12月に収載)、および、迅速な救済の視点から仮執行の問題を扱った内海博俊「判例研究」判例評論650号(2013年4月)128~136頁があるほか、飯島淳子教授が、都市防災研究協議会に招かれ「大災害における国と自治体の役割分担」について報告を行った(2013年2月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、公法制度検討グループ、私法制度検討グループ、金融・物流制度検討グループごとに、各自の専門分野における法解釈論・立法論の視点から、実態の把握と課題の整理につとめるという第一段階の研究と、そこで得た課題認識のもとで、大規模災害からの復旧・復興のあり方、その基盤となる災害対策法制(民事法を含む)のあり方を総合的に検討する第二段階の研究とからなる。初年度である平成24年度においては、このうち第一段階の研究、しかも、現状認識の獲得を中心とした研究を行うという研究実施計画を立てたところである。 この計画については、概ね達成することができた。研究代表者・研究分担者各自が、自己の専門・問題意識・研究課題に即して、資料収集・現地調査等を行い、それぞれの個別テーマに関わる問題の発生状況・問題への対応状況・それを巡る理論状況の整理につとめた。これらの検討を通じて、例えば、わが国の災害対策法制の特徴として、①大規模災害のたびに「対症療的」な対応がなされてきたこと、②統一的理念・指針が示されていないこと、③基本的に中規模の災害を想定してきたこと、④復旧・復興の位置づけが弱いこと、などを指摘できることが明らかとなった。 ただし、研究会の開催およびフィールド・ワークについては、当初の予定通り十分に実施することができたとは言えず、平成25年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、昨年度に引き続き第一段階の研究を中心に進めるが、あわせて平成26年度(最終年度)における総合的研究(研究のまとめ)に向けた予備作業を行う。すなわち、公法、私法、金融・物流の各検討グループごとの個人研究・共同研究を重視し、その上で、メンバー間での相互理解・共通認識を醸成することにつとめる。 研究方法としては、各自の研究テーマに関わる発災以降の問題の推移と展開を一層明らかにするという観点から、関連文献や資料・情報の収集・分析を行うと共に、グループ内外において共同研究の場(研究会等)を設け、報告者・参加者による対話・討議を通じて更に研究を深める。その際、法曹関係者や国・自治体職員等の外部の研究者・実務家等を招いて、実態を踏まえた実務的・経験的な観点からの検討も行うこととする。 また、各メンバーのこれまでの研究の蓄積、今後の研究の進展状況に応じて、準備が整った者から積極的に論文等を公表し、情報発信、および法解釈論的・立法論的提言等につとめる。 以上のような平成25年度における研究を踏まえて、平成26年度には、第二段階の研究課題(有機的・総合的な研究の成果を生み出すこと)に本格的に取り組むこととなる。
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