2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大平 英樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90221837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 慎太郎 愛知学院大学, 法学部, 准教授 (00402389)
田邊 宏樹 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20414021)
川合 伸幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (30335062)
森際 康友 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40107488)
片平 健太郎 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60569218)
川口 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70152931)
唐沢 穣 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90261031)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験系心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、代表研究者、分担研究者により隔月で研究会を開催し、実験心理学(大平)、社会心理学(唐沢)、比較心理学(川合)の各班における研究進捗報告を行うと共に、そこでの知見について、心理学、神経科学、法哲学の観点から正義への含意・示唆について討論を行った。 代表研究者(大平)は、リサーチ・アシスタントの林と共に、昨年度より継続して最後通牒ゲーム、独裁者ゲーム、公共財ゲームなどの交渉ゲーム・パラダイムによる調査、実験を行い、公正や正義の問題について検討した。特に、財の獲得に関する貢献とその不確実性が、財の分配における正義の原理にどのように影響するのかについて検討し、分担研究者(片平)と共に、それを説明する計算論モデルを考案して検討した。 分担研究者の唐沢は、主として裁判員裁判における量刑判断事例を対象として、同一の犯行であっても、容疑者の道徳性が、それに対する量刑に影響することを、調査研究により検討した。 分担研究者の川合は昨年度より継続して、公正の問題を進化的観点から検討するために、サル(マーモセット)2体を対象として実験的検討を行った。その結果、サルは不平等な餌分配を行ったヒト実験者を回避することが示され、いわゆる不平等嫌悪の萌芽が見られることが明らかになった。 また、規範的学問である法哲学における正義の問題を、実証科学である心理学や神経科学において扱うためのミニマムな要件について討論を重ね、当事者同士の交渉ではなく権威を持つ第三者(権力)を扱えること、正義の逸脱に対する罰とその確実性を扱えること、適切な制度の導入により遵法行動が促進されるかが扱えること、が重要であるとの認識で合意した。次年度以降、この要件に沿って実験的研究を継続していくことが決定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では当初、最後通牒ゲームや独裁者ゲームを用いた研究を計画しており、実際、これらの方法による検討では相当に有益な知見が得られた。しかし、法哲学からの正義の概念の検討により、当事者同士の交渉だけでなく権威を持つ第三者を操作的に扱える方法がより望ましいことが明らかになった。そこで本年度は、それを可能にする方法として公共財ゲームを用いて検討を開始した。 本来、今年度後半に最後通牒ゲームを用いたfMRIによる神経画像研究を行うはずであったが、上記の事情によりその実施を保留した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開始した公共財ゲームを用いた予備的検討は有望な成果を収めており、この方法が実験的に扱えることが確認された。そこで来年度前半には、権威を持つ第三者による罰、プレイヤー相互の罰、罰なし、の3条件を設定して公共財ゲームを行い、そこでの行動及び生理的反応を測定して検討を行う。さらにこれと並行して神経画像研究の準備を進め、年度後半には上記の実験的研究の成果を踏まえて神経画像研究を実施する。
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Research Products
(18 results)