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2012 Fiscal Year Annual Research Report

ダークマターの探索

Research Project

Project/Area Number 24244025
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

鈴木 洋一郎  東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70144425)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 森山 茂栄  東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (50313044)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsダークマター / 暗黒物質 / WIMP / アクシオン / 液体キセノン / 低温検出器 / 低バックグラウンド
Research Abstract

本研究は、暗黒物質を直接検出する事を目的としている。実験装置は、球体の内壁に光センサーを配置し、内部に全質量845kgの液体キセノンを使用している。中心部100kgがWIMPS探索に使われ、暗黒物質がキセノンと弾性散乱した時に発する光を検出する。2011年より試運転を開始したが、測定器内壁面からの放射線バックグラウンド(BG)が予想より多いことが判明した。現在までに、そのBG源をほぼ特定した。光センサーであるPMTのクォーツ窓とメタル管のシールに使われていたアルミが大量の238Uを含んでいた。また、アルミとPMTホルダの表面に210Pbが、多く付着していた。
BGをなくす為には,PMTを作り直さなくてはならないが、それには時間と経費が多くかかるため、当面の対策として、アルミシールのまわりに銅のリングを取付ける、表面の研磨・洗浄等を行い表面不純物を取り除く、などの方針を固め、部材のデザイン、不純物除去のテストをおこなった。現在、測定器は、改良の為、分解されている。BGを低減する工夫を施した改良検出器が、25年秋頃には稼働する。
BGを解析ソフトで、有効質量内に再構成Vertexが入らないように低減するための開発も多くなされ、新たに組み上げられる検出器にも適応される。
本実験において、キセノンからの発光量が非常に多いことが判明した。実際、世界で最も検出可能最低エネルギーが低い測定器である。これは、本実験がLow mass WIMPSにも感度があるいことを示し、これまでのDAMA実験と同程度の感度を出す事が示せた。結果はPhys. Lett. に出版された。また、この低閾値を利用し,もう一つのDM候補であるAxonの探索も実施し、Phys. Lett. に投稿中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ダークマター実験の最も重要な要素はバックグラウンド(BG)であり、如何にバックグラウンドを落とすかが、実験の正否を握っている。本研究では、当初の予想に反して,多くのバックグラウンドを持っている事が判明した検出器から、そのバックグラウンドの影響を出来るだけ低くして、検出器を出来るだけ早く運転することである。我々は、検出器に使われた部材のバックグラウンドレベル、得られてエネルギースペクトル、アルファー粒子を同定した事象の解析等を通じて、BGの源を短時間で判定した。主なバックグラウンドは、PMTのクォーツ窓と金属本体との接合に使われていたアルミに238Uであった。また、銅のホルダの表面に付着した210Pbも大きなBG減であることが確定した。PMTを交換することは、短時間には出来ないので、本研究では、アルミシールを銅のリングでカバーすることにより、238Uからのalphaとベーターからの影響を排除することにし、デザイン製作を行った。また、表面に付着した210Pbに関しては,再建時にできるだけラドンの影響を避ける方策を検討、確立させた。ほぼ、1桁から2桁の減少が期待されている。現在、組み上げは若干遅れているが、方法がすでに確立しているので、当初の目標に達すると思われる。また、予期せぬ感度がLow Mass WIMPS領域にあることが分かり、既に出版している。将来の可能性があることも示した。これは、期待以上のことである。ソフトウエアの改善により、可能なBG削減方法を多数開発した。

Strategy for Future Research Activity

バックグラウンドの削減方法が確立したので、あとは、検出器の組み上げをすみやかに行い、データ収集を再開する。現在、必要な部材は最終デザインが確定し、2015年6月までには、全ての製作が終了する。再組み上げは、本年の夏までに完了する。これにより、不純物を含むアルミシールからのバックグラウンドは5 keV近辺で、2桁近く減少が見込まれる。また210Pbが原因である、表面バックグラウンドは、電解研磨の導入や、210Pbの源であるラドンが付着することを避けるために電位を利用する仕組みの導入や、ラドンの少ない環境の整備などにより、1-2桁の削減を見込んでいる。このように1-2桁のバックグラウンドが削減されれば、すでに当初の測定器により実績をあげたLow mass WIMPsの領域やAXION like particles探索の感度を高くあげておこなうことができる。また、数%から10%程度あるとされている暗黒物質観測の季節変動が、DAMA/LIBRA実験と同等の感度によって行うことができ、肯定、否定、様々な実験結果がひしめく領域に一石を投じることができるだろう。
通常の数十からTeV領域のWIMP探索領域に関しては、アルミシール回りの銅カバーの設置だけでは、ガンマ線バックグラウンドなどが残り、本来の感度には、到達するのが困難かもしれない。しかし、バックグラウンドの振る舞いをさらに深く研究することができ、バックグラウンドに対する理解を一層深め、将来につなげることが出来る。
次のステップでは、今回完全に影響を取り除く事ができなかったアルミからのバックグラウンドを、アルミを用いないPMTに取り替えることにより、完全に排除する。その時、世界の趨勢に立ち向かえるように、測定器のサイズも大きくし、これまでに、学んだことを生かし、通常WIMPs探索の領域においても、世界最高感度を目指す。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Light WIMP search in XMASS2013

    • Author(s)
      K. Abe er al
    • Journal Title

      Physics Letters B

      Volume: 719 Pages: 78-82

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2013.01.001

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 太陽アクシオン及びBosonic Super-WIMPs探索2013

    • Author(s)
      森山茂栄
    • Organizer
      日本物理学会
    • Place of Presentation
      広島大学(東広島市)
    • Year and Date
      20130326-20130329
  • [Presentation] XMASS実験:現状2012

    • Author(s)
      森山茂栄
    • Organizer
      日本物理学会
    • Place of Presentation
      京都産業大学(京都市)
    • Year and Date
      20120911-20120914
  • [Presentation] XMASS experiment2012

    • Author(s)
      Y. Suzuki
    • Organizer
      9th International Conference: Identification of Dark Matter (IDM2012)
    • Place of Presentation
      Chicago, USA
    • Year and Date
      20120723-20120728
  • [Presentation] Direct dark matter experiments and XMASS2012

    • Author(s)
      S. Moriyama
    • Organizer
      The 4th International Symposium on Neutrinos and Dark Matter in Nuclear Physics (NDM2012)
    • Place of Presentation
      Nara, Japan
    • Year and Date
      20120611-20120615

URL: 

Published: 2014-07-24  

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