2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24244058
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Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
木村 剛 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80323525)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 電気時期効果 / マルチフェロイクス / スピングラス |
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| Research Abstract |
平成２４年度は、フラストレート磁性体の中でも長距離秩序のないスピングラスに着目し，スピングラスにおける多スピン自由度の検出の可能性を探ることを実施計画のひとつとしていた。研究対象物質として絶縁性磁性体XYスピングラスと報告されているNi0.4Mn0.6TiO3を取り上げた。平成２３年度まで我々の研究ですでに，同試料においてグラス温度領域近傍でトロイダルモーメントの存在を示唆する非対角かつ反対称的な電気磁気効果が観測されていた。しかしながら，観測された電気磁気効果がトロイダルモーメントを一様方向に揃えるように磁気モーメントがグラス凍結したことに起因するものであるかは，さらなる検証が必要であった。そこで本研究では，より詳細な軸[ポーリング電場・磁場依存性，時間依存性(aging, relaxation)など]にわたる電気磁気特性測定(交流磁化率，誘電率，電気磁気効果等)をXYスピングラス系Ni0.4Mn0.6TiO3に対して行った。
また、平成２３年度より構築を進めてきたダイアモンドアンビルセルを用いた超高圧下における誘電率および比熱同時測定系を用いて、マルチフェロイック物質CuCrO2の磁気・強誘電特性に対する圧力効果の詳細を調べるといったことも行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成２４年度の研究では、ランダム磁性体であるXY的スピングラス系NixMn1-xTiO3を研究対象物質とし、単結晶育成、直流/交流磁化測定、交流誘電率測定、電気分極測定、比熱測定を様々な磁場下で行うことにより、その物性を詳細に調べた。その結果、ランダム磁性体においてはそれまでほとんど観測されたことのない電気磁気結合の観測、そのグラス的な振る舞いの観測、および電磁場を用いたグラス凍結状態の制御に成功した。さらに、その起源として、トロイダルモーメントによる新規なグラス状態「トロイダルグラス」という概念を提唱した。この成果に関しては、結果としては、計画通りのものが得られたといえるが、まだ論文としては公表されておらず、その点では、達成度として、不十分なものがあった。論文による公表を今後、進めていく。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成２５年度の研究の軸の一つとして、以下の研究をとりあげる。
「六方晶フェライトにおける室温動作電気磁気効果の高性能化」
Ｚ型六方晶フェライト多結晶試料における弱磁場室温で動作する電気磁気効果の起源を明らかにすることは，その後の物質設計指針の設定に役立つものと考えられる。そのためには，単結晶試料を用いた詳細な実験（電気磁気効果測定，中性子線回折による磁気構造の解明，円偏光共鳴Ｘ線回折によるマルチフェロイックドメインの直接観察など）が必要不可欠である。様々な育成条件（温度，雰囲気，フラックスの種類など）を試みることにより，単結晶試料の育成を実現させる。単結晶試料の測定によって得られる基本物性の詳細を調べることにより，さらに展開させる周辺物質の方向性を絞ることが可能となる。
単結晶試料作製に加えて，六方晶のc軸方向にのみ配向した配向試料の作製も進めていく。六方晶フェライトの一種であるＭ型六方晶フェライトはフェライト磁石として使われているが，その磁気異方性の存在から磁場中でプレス成型することにより配向試料を作製することが可能である。さらに配向試料における磁石特性は４倍程度向上することが知られている。Ｚ型六方晶フェライトの電気磁気効果においても配向試料を作製することにより同様の性能向上が期待できる。面異方性を持つＺ型においては，回転磁場中において粉末をプレス成型することにより，配向化させることが可能であり，得られた配向試料の電気磁気特性を詳細に調べ，高機能化をはかる。
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