2013 Fiscal Year Annual Research Report
リスクに対する頑健性と柔軟性を備えた環境調和型サプライチェーン設計手法の開発
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24246150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森口 祐一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30157888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 聖隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究グループ長 (10344160)
醍醐 市朗 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (20396774)
井原 智彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
中谷 隼 東京大学, 工学系研究科, 助教 (40436522)
松八重 一代 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50374997)
菊池 康紀 東京大学, プラチナ社会総括寄付講座, 講師 (70545649)
栗島 英明 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80392611)
中島 謙一 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
工藤 祐揮 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 主任研究員 (90391094)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サプライチェーンリスク / LCA / インベントリデータベース / 脆弱性評価 / グラフ理論 / グローバルサプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 国外を含めたサプライチェーンリスクの実態調査: タイを訪問して,2011年の大洪水によるサプライチェーンへの影響を中心に,日系を含む現地企業および貿易関連団体へのインタビュー調査を実施した。これらの実態調査の結果から,生産停止の原因を整理した。 2. リスクに対するサプライチェーンの“強さ”の概念整理: 都市や資源など様々な学術分野を対象とした文献調査,および国内外の実務者・研究者との意見交換を通して,サプライチェーンリスクに適用されうる“強さ”の概念を列挙した。こうした概念のうち,本研究で評価の対象とするべき観点について検討した。 3. 国内のサプライチェーン構造のデータ整備: LCAのインベントリデータベースをもとに,約2000×2000の投入係数表を作成し,物量連関を示す「IDEAマトリクス」とした。輸入量および輸出量,産業以外の消費量をもとに,需要と供給のマスバランスの確認を行った。IDEAマトリクスのマスバランスに不整合について,データの分割および中間製品に対する生産量などの推定,過欠補正項などによって調整した。 4. サプライチェーンの脆弱性評価の枠組みの構築: グラフ理論を用いた,サプライチェーンの脆弱性評価の枠組みの構築を進めた。特に,生産プロセスおよび部品や素材の代替性を考慮した評価方法の確立のために,枠組みを拡張した。また,IDEAマトリクスによって記述された現実のサプライチェーン構造へ適用するために,合算インベントリなどを考慮して評価方法に改良・拡張を加えた。 5. グローバルサプライチェーンの把握: 国際貿易統計から得られる貿易量にWIO-MFAから得られる品目別の組成情報を乗じることで,物質の移動を介した国際的なサプライチェーン構造の同定と可視化を実施した。これにより,元素ごとに異なるサプライチェーン構造を有している事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 国外を含めたサプライチェーンリスクの実態調査: タイにおいてインタビュー調査を実施し,洪水を含むサプライチェーンに存在するリスクとサプライチェーンリスクへの対策の実態について,十分に調査することができた。 2. リスクに対するサプライチェーンの“強さ”の概念整理: 様々な学術分野を対象とした文献調査や意見交換によって,サプライチェーンリスクに適用されうる評価の観点を列挙することができた。第一にサプライチェーンに影響をおよぼすリスク(およびハザード)に関する概念,第二にそうしたリスクに対する対応力(レジリエンス)や脆弱性に関する概念である。次年度,これらの概念を整理するとともに,これまでの実態調査によって得られた具体的な事例を対応させることで,サプライチェーンの“強さ”の概念を体系化することが課題として残されている。 3. 国内のサプライチェーン構造のデータ整備: 国内における約2,000品目分類の製品・サービス間の物質連関を記述する「IDEAマトリクス」の整備は,需要量と生産量の整合性の改良など,全般的に堅調に進捗した。ただし,製品ごとの生産拠点の立地など,地理的リスク(偏在性)の評価に活用される予定であった情報については,分析方法の確立が追い付かないことから,その活用は次年度の課題として残されている。 4. サプライチェーンの脆弱性評価の枠組みの構築: IDEAマトリクスへの適用や,企業レベルでの脆弱性評価への活用を前提として,プロセス代替性および部品・素材代替性を考慮したサプライチェーン構造の脆弱性評価の枠組みが構築された。今後は,実際にIDEAマトリクスに記述されたサプライチェーン構造の脆弱性を評価することで,より“強い”サプライチェーン構造に向けた分析が課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 国内外における実態調査に基づくサプライチェーンリスクの体系化: これまでに実施してきた国内外における実態調査から得られたサプライチェーンリスクの具体的な事例と,様々な学術分野を対象とした文献調査や意見交換によって列挙されたリスクの概念を対応させることで,サプライチェーンの“強さ”の概念を体系化する。 2. グラフ理論を用いた国内のサプライチェーン構造の分析: これまでに整備したIDEAマトリクスと,製品ごとの生産拠点の立地など地理的データに対して,グラフ理論を用いたサプライチェーンの脆弱性評価の枠組みを適用することにより,以下の3つの目的を達成する。 A) 様々な素材・製品を対象として,国家レベルでのサプライチェーン構造の脆弱性と,その中で構造上のボトルネックとなっている国内の生産プロセスや輸入製品を特定する。 B) サプライチェーンマトリクスをバックグラウンドデータとして活用することで,企業レベルでのサプライチェーン構造の脆弱性を評価するための枠組みを提案する。 C) 特定製品(群)を対象としたケーススタディに対して脆弱性評価の枠組みを適用し,地理的偏在性に伴うリスクを地図情報システム(GIS)上で可視化する。
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Remarks |
2013年より,ワーキンググループの理念はそのままに,より多くの研究者・実務者との議論・交流の場とするべく,「日本LCA学会 サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)研究会」として,新たに組織を再編し,活動を開始した。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Design of recycling system for poly(methyl methacrylate) (PMMA). Part 2: process hazards and material flow analysis2014
Author(s)
Kikuchi, Y., Hirao, M., Sugiyama, H., Papadokonstantakis, S., Hungerbuhler, K., Ookubo, T., and Sasaki, A.
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Journal Title
International Journal of Life Cycle Assessment
Volume: 19 (6)
Pages: 307-319
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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