2013 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞シートシステムの構築における細胞間接着装置・アピカル膜複合体の役割
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24247037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
月田 早智子 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00188517)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞間接着装置 / 細胞骨格 / アピカル膜複合体 / クローディン / バリアー |
Research Abstract |
多細胞生物において、上皮細胞はシート構造を形成して、体内のコンパートメントを構築するが、単にホメオスターシスの維持のみにはとどまらず、積極的に機能創出を行う。本研究ではこの課題に、細胞間接着装置・細胞骨格・アピカル膜複合体の観点から取り組んでいる。具体的には、:「細胞間接着装置側からの解析」と「細胞アピカル膜構築の解析」の2方向からのアプローチを行う。 (課題1):「細胞間接着装置側からの解析」: 昨年度はタイトジャンクションに局在するRhoGEFとしてARHGEF11について解析を進めたが、本年度はRhoそのものの局在が制御されている可能性について、TJの役割を追求した。Rho結合性の因子のひとつとして、細胞骨格性のシグナル分子の解析を進めた。そのノックアウト細胞の解析を行い、さらに具体的にシグナル経路を明らかにする方策を切り開いた。並行して、TJ 接着分子クローディン・細胞骨格複合体の解析、として、クローディンから、Rho関連蛋白質への結合のアルゴリズムの解析を進めた。クローディンそのものの機能解析については、これまで、腸管でクローディンノックアウトマウスの解析を行ってきて、バリアー異常のときの生体機能異常について、主に腸管で検討を進めてきた。肝臓でも解析系をたちあげ、さらに幅を広げて、クローディンによる生体システムの構築原理を検討した。胆汁分泌異常や、胆石といった症状ともあわせて、解析をすすめ、一部は論文投稿のリバイス段階にある。 課題2):「細胞間接着装置・アピカル膜がいかにシステムとして統合されるか:「細胞アピカル膜構築の解析」:アピカル膜を裏打ちするアピカル骨格構造について、超解像顕微鏡などを用いて、新たな所見を得ており、TJ発の微小管構築についての所見を報告した(Yano et al. J.Cell Biol. 2013)。さらに他の骨格系についても検討をすすめ、細胞間接着装置・アピカル膜の機能的リンクについての検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(課題1):「細胞間接着装置側からの解析」: 本年度はRhoの局在制御におけるTJの役割を解析、Rho結合性の因子のひとつとして、細胞骨格性のシグナル分子の解析を進めた。ノックアウト細胞の作製・解析を行い、具体的にシグナル経路を明らかにする方策を切り開き、新しい視点が拓けた。また、TJ 接着分子クローディン・細胞骨格複合体の解析として、クローディンから、Rho関連蛋白質への結合のアルゴリズムの解析を進めることができた。 クローディンの機能解析については、クローディンノックアウトマウスの解析を継続して行ってきた。腸管での解析に加え、肝臓でも解析も加わり、クローディンによる生体システムでの役割をとくに微小環境レベルで明らかにしつつある。胆汁分泌異常や、胆石といった症状ともあわせて、解析をすすめ、一部は論文投稿のリバイス段階にある。 課題2):「細胞間接着装置・アピカル膜がいかにシステムとして統合されるか:「細胞アピカル膜構築の解析」:アピカル膜を裏打ちするアピカル骨格構造について、超解像顕微鏡などによる観察を新しく加え、新規所見を得た。TJを起点としたの微小管構築についての所見も報告(Yano et al. J.Cell Biol. 2013)。他の骨格系についても検討をすすめ、細胞間接着装置・アピカル膜の機能的リンクについてオリジナリティのある解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の解析をさらに進める。具体的には、 (課題1):「細胞間接着装置側からの解析」: 平成25年度はRhoの局在制御におけるTJの役割を解析、Rho結合性の因子のひとつとして、細胞骨格性のシグナル分子の解析を進めた。ノックアウト細胞の作製・解析を行い、具体的にシグナル経路を明らかにする方策を切り開き、新しい視点が拓けた。また、TJ 接着分子クローディン・細胞骨格複合体の解析として、クローディンから、Rho関連蛋白質への結合のアルゴリズムの解析を進めることができた。平成26年度では、分子論的にシグナル経路の全体像を得ることを目指す。また、細胞生物および生体における機能的意義についての検討を進める。 クローディンの機能解析については、クローディンノックアウトマウスの解析を継続して行ってきた。腸管での解析に加え、肝臓でも解析も加わり、クローディンによる生体システムでの役割をとくに微小環境レベルで明らかにしつつある。胆汁分泌異常や、胆石といった症状ともあわせて、解析をすすめ、一部は論文投稿のリバイス段階にある。クローディンファミリーの局在と微小環境・生体機能の関連を明らかにし、一般原理の導出を目指す。 課題2):「細胞間接着装置・アピカル膜がいかにシステムとして統合されるか:「細胞アピカル膜構築の解析」:平成25年度は、アピカル膜を裏打ちするアピカル骨格構造について、超解像顕微鏡などによる観察を新しく加え、新規所見を得た。TJを起点としたの微小管構築についての所見も報告(Yano et al. J.Cell Biol. 2013)。他の骨格系についても検討をすすめ、細胞間接着装置・アピカル膜の機能的リンクについてオリジナリティのある解析を進めることができた。平成26年度は、昨年度に得られた知見をもとに、より精細な検討を進める。生体機能と構造との関連を明らかにする。
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Research Products
(11 results)