2012 Fiscal Year Annual Research Report
灌漑管理統合評価指標の開発~改めて「良い灌漑とは?」
Project/Area Number |
24248041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
渡邉 紹裕 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (50175105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30293921)
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (30188750)
仲上 健一 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10109077)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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Keywords | 水資源管理 / 灌漑管理 / 統合評価指標 / 用水配分 / 洪水氾濫モデル / エジプト / 滋賀県愛知川地区 / モンゴル |
Research Abstract |
新たな灌漑管理統合評価指標を開発することを最終的な目標に据え、主に事例対象としたエジプトを中心にして調査研究を進めた。採択が平成24年11月となり、研究期間が限られたため、情報と調査観測体制の整備を重点的に進めた。 エジプトでは、ナイルデルタのダカルト地区を重点調査地区に選定し、水資源灌漑省の国立水研究センター・水管理研究所の協力を得て、灌漑管理の概況を調査し、水動態・水配分と作物生育の調査体制を整備し、必要な観測機器の設置を行った。また、アスワンハイダムを根幹とするナイル川の水資源管理の枠組みについて、聞き取りを含めて現地調査を行った。さらに、水管理の基本構造を分析する基礎として、灌漑システムの形成・展開に関する文献資料を収集し、ナイル川の氾濫を利用したベイスン灌漑を再現評価する洪水氾濫モデルの改良を進めている。調査研究の課題と方法を議論するため、12月にカイロで研究分担者・協力者と現地研究者・技術者が集まり、国際ワークショップ「Designing Local Water Management Framework」を開催した。 副事例調査地区である滋賀県愛知川地区では、灌漑管理統合評価指標を構成する主要要素となる反復利用程度、水源多様性、水質、生物多様性、節水程度、取水安定性に着目し、水利用と水質を調査した。その結果、酸素水素同位体が反復利用の有力指標となることが示唆された。 地域資源管理における共同の実態と意義を広く検討するために、中国の水問題に関する研究データベースを作成した(中国語約500件、日本語約250件、英語約300件)。また、モンゴルの鉱産資源開発に伴う環境問題について国際会議を開き、鉱物等の資源開発が水資源管理に及ぼす影響を明らかにした。モンゴルについては国営農場に関する資料集を作成して、近代的農業開発における灌漑・地域水資源管理の意味を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「灌漑管理統合評価指標」の構築に向けて、基本的な検討の枠組みと事例調査地区における情報・資料の収集を進めている。また、次年度以降の調査研究の体制の整備も進めることができた。課題採択と研究開始が遅くなったことを考慮すると、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の第2年度を含め,今後は以下のように研究を進める方針である. 1)主要調査対象地域としたエジプトのナイルデルタにおいて、国立水研究センター水管理研究所と協力して、必要な記録資料の収集、現地観測を継続して行う。2)とくに、取水・配水の時空間変動など水利用の実態を、圃場レベルと地区レベルにおいて、適度な精度で把握する。3)農家などの利水者や水管理関係者(行政、技術研究者)からの記録・資料の収集に加え、前年度に準備した聞き取り調査も継続して本格的に実施する。4)水利用の根幹にある共同の歴史的な形成を、考古・歴史資料の分析と、水文・水利モデルの開発適用を組み合わせて再現・考察するための手法を開発し、検討を進める。5)事例調査地区における実態調査の成果を、現地研究者や関係者を含む研究参加者が提示するメカニズム分析を統合して、因果関係チャートとして表現する。6)因果関係チャートとモデル分析で状況を端的に表現することができる項目を試行的に選択・抽出し、その尺度を定めて「灌漑管理統合評価指標」(案)をとりまとめる。7)指標は、中心事例調査地区であるエジプト・ナイルデルタの他、資料の活用できる条件の異なる地域への適用を考察する。必要に応じて、現地調査も行う。8)基本的な課題の整理や進捗・成果は、2013年が国連の「国際水共同年」であることから、関連する第1回世界灌漑フォーラム(9月,トルコ)、ユネスコ国際水共同会議(11月,エジプト)などの国際会議などで報告・議論する。また、調査研究の成果は適当な国内外の学術誌に発表する。
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Research Products
(18 results)