2013 Fiscal Year Annual Research Report
灌漑管理統合評価指標の開発~改めて「良い灌漑とは?」
Project/Area Number |
24248041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 紹裕 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (50175105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30293921)
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30188750)
仲上 健一 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10109077)
藤巻 晴行 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (90323253)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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Keywords | 灌漑排水管理 / 評価指標 / エジプト / 共同 |
Research Abstract |
重点調査地区に選定したエジプト・ナイルデルタのダカルト地区において、前年度の調査及び計器等の設置を踏まえ、同国水資源灌漑省の国立水研究センター・水管理研究所の協力を得て、灌漑管理の実態を調査した。とくに、地区水路系における用水配分と圃場レベルの水動態・作物生育の調査を進め、観測データの集積を行った。これにより、用水供給の「信頼性」に関わる新たな指標を提案できた。また、これまでの様々な灌漑改善事業の比較検討を行い、その成果の一部は国際会議で発表した。さらに、アスワンハイダムを根幹とするナイル川の水資源管理の枠組みについても、既存の「水ストレス指標」の適用を軸にして、開発事業のサステイナビリティ評価を試みた。 ただし、平成25年6月の現地の「政変」による政情・治安の不安定化のために、現地における活動が困難となり、現地研究機関の調査・資料収集に依存しなければならなくなり、調査に制約が生じた。国内で行える、水管理の基本構造を分析する基礎としての、ナイル川の氾濫を利用したベイスン灌漑を再現評価する洪水氾濫モデルの改良、その基礎となる古土地利用再構築モデルの開発は進めることができた。 参考事例調査地区である滋賀県愛知川地区では、灌漑管理統合評価指標を構成する主要要素となる取水の安定度に注目し、それを構成する基本要素について一定の定量評価ができた。 また、地域資源管理における共同の実態と意義を広く検討するために、乾燥地における灌漑の意味や位置づけについて、モンゴルの農業を題材にして文献及び現地調査から考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「灌漑管理統合評価指標」の構築に向けて、基本的な検討の枠組みと事例調査地区における情報・資料の収集を進めることができた。しかし、エジプトの政情・治安の制約から、現地での調査活動が著期間実施できず、予定していた観測や資料収集・聴き取りに遅れが生じたが、その分、国内での資料分析やモデル開発、一部成果の取りまとめ発表は進めることができた。これらを総合的にみると、現地調査の遅れを踏まえても、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の第3年度(最終年度)は、主要調査対象地域としたエジプトのナイルデルタを中心にして、以下のように研究を進める。現地の政情・治安の影響で、遅れの出ている現地調査の回復を含め、効率的に調査研究を進める。また、現地情勢の変化に対応して必要な調整を行う体制を準備する。 1)エジプトのナイルデルタにおいて、国立水研究センター水管理研究所と協力して、必要な記録資料の収集、現地観測を継続して行う。とくに、取水・配水の時空間変動など水利用の実態を、圃場レベルと地区レベルにおいて、適度な精度で把握する。2)農家などの利水者や水管理関係者(行政、技術研究者)からの記録・資料の収集に加え、前年度に試行したが本格的には実施できなかった聞き取り調査を実施する。3)水利用の根幹にある共同の歴史的な形成を、考古・歴史資料の分析と、水文・水利モデルの開発適用を組み合わせて再現・考察するための手法を開発し、検討を進める。4)事例調査地区における実態調査の成果を、現地研究者や関係者を含む研究参加者が提示するメカニズム分析を統合して、因果関係チャートとして表現する。この因果関係チャートとモデル分析で状況を端的に表現することができる項目を試行的に選択・抽出し、その尺度を定めて「灌漑管理統合評価指標」(案)をとりまとめる。5)指標は、資料の活用できる条件の異なる地域、例えばトルコ・地中海地域やインドネシア・バリ島及びスラウェシ島などへの適用を試行し、改善を行う。6)基本的な課題の整理や進捗・成果は、関連する国際学会(国際灌漑排水会議,9月,韓国)などで報告する他、適当な規模の国際ワークショップ等で議論する。また、事例調査地区における灌漑管理の各側面の実態や因果関係の分析結果及び開発した手法などは、それぞれ適当な国内外の学術誌に発表する。
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Research Products
(19 results)