2012 Fiscal Year Annual Research Report
標的絶対定量プロテオミクスに基づく血液脳関門可塑性の分子機構解明
Project/Area Number |
24249011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺崎 哲也 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60155463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00401810)
濱田 潤一郎 金沢大学, 医学系, 教授 (40253752)
内田 康雄 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70583590)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / 可塑性 / 標的絶対定量プロテオミクス / Pharmacoproteomics / 輸送担体 / 細胞内情報伝達系 / 脳疾患 |
Research Abstract |
「血液脳関門の可塑性の分子機構解明」を目的として、本年度は標的絶対定量プロテオミクス(QTAP)の手法を用いて、病態モデルマウス脳組織の毛細血管におけるトランスポーターを含む薬物動態に関与する機能性タンパク質の絶対発現量を解明し、正常と比べて発現が変動する分子を同定した。ペンチレンテトラゾール(PTZ)を腹腔内に5週間反復投与することよって、てんかん様症状を示すマウスを作成した。また抗てんかん薬であるフェニトインを5週間反復投与し薬物治療モデルを、3 mg/kg LPSを腹腔内投与することによって炎症モデルを作成した。これら3種のモデルと自然てんかんモデルであるELマウスから脳毛細血管を単離し、QTAPによって31種の機能性分子の絶対発現量を測定した。その結果、PTZてんかんモデル、ELマウス及び薬物治療モデルにおいて、異物排出トランスポーターの発現量が正常マウスに比べて有意に増加していた。対照的に炎症モデルでは、そのトランスポーターの発現量は変化せず、有機アニオントランスポーターの発現量が有意に低下していた。脳疾患の中で脳関門機能が最も劇的に変化すると考えられる脳腫瘍について、ヒト脳腫瘍組織から毛細血管を単離する方法を最適化した。以上の研究結果は、ボトムネックとなっていた病態時の血液脳関門の解析手法の限界を克服するとともに、脳疾患に対する薬物治療において薬剤感受性の低下の原因の一つが、病巣部位の血液脳関門における薬物輸送機能の変動であることを支持している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画が平成24年度の早期に完了し、血液脳関門で重要な役割を果たす密着結合分子や受容体など、当初は定量解析を計画していなかった分子群まで解析を進めることができ、それら分子群の発現量が顕著に変動していることを解明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS/MS)の性能革新が著しいことから、最新技術を積極的に取り入れるとともに、本研究課題に特化した技術開発を推進します。さらに次年度に実施予定の、脳毛細血管における細胞情報伝達に関与する受容体及びセカンドメッセンジャーを同定には、技術革新が進むインフォマティクスの手法が有用であることから最新情報を積極的に活用します。
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Research Products
(14 results)