2014 Fiscal Year Annual Research Report
標的絶対定量プロテオミクスに基づく血液脳関門可塑性の分子機構解明
Project/Area Number |
24249011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺崎 哲也 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60155463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00401810)
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
渡部 通寿 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40303127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / 可塑性 / トランスポーター / 病態 / P-glycoprotein |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、定量プロテオミクス、in vivo病態モデルマウス、及びヒト血液脳関門(BBB)モデル細胞(hCMEC/D3細胞)を用いて、病態時におけるBBB輸送機能の定量的変化と、細胞情報伝達経路の変動機構を解明することを目的とした。BBBにおいて薬物の脳移行性を制御するP-糖蛋白は、てんかんや炎症などの病態時において排出輸送活性を変動させることが報告されている。てんかん病態モデルとして用いたpentylenetetrazole投与マウス及び自然発症マウスにおいて、脳血管におけるP-糖蛋白の発現量が増加することを示した。P-糖蛋白の発現量増加と単分子輸送活性を組み入れた数理モデルを用いて、基質となるベラパミルのBBB透過性の低下を再構築することに成功した。さらに、炎症病態モデルとして、tumor necrosis factor-alpha (TNF-alpha)で処理したhCMEC/D3細胞では、P-糖蛋白の発現量は変化しなかったが、基質であるビンブラスチンの排出輸送活性が有意に低下することを示した。リン酸化定量プロテオミクスによって、TNF-alpha 処理によってリン酸化量が変動するタンパク質を同定した。siRNAを用いた発現抑制実験の結果、ビンブラスチン排出輸送活性の低下は消失した。以上の結果から、hCMEC/D3細胞のTNF-alpha処理炎症モデルにおいて、P-糖蛋白の単分子あたりの輸送活性が低下することが示唆された。さらに、同モデルにおけるP-糖蛋白の単分子輸送活性の低下には、細胞内タンパク質のリン酸化量の増加が関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画に従い病態モデルにおける輸送活性の変動機構の解明を進めた。さらに、リン酸化定量プロテオミクスを構築し、輸送活性制御タンパク質のリン酸化量の変動と輸送活性の変化の解明を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
血液脳関門機能の可塑性解明の次段階として、病態モデル及びヒトin vitro血液脳関門モデルを用いて得られた知見をもとに、ヒト病態における脳毛細血管を用いた標的絶対定量プロテオミクス解析へ発展させる予定である。
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Research Products
(19 results)