2014 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおけるインフルエンザウイルスのトランスミッションダイナミックスと進化
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24249041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
押谷 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80419994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神垣 太郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80451524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インフルエンザ / ウイルス / 伝播 / アジア / モンゴル / フィリピン / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度はフィリピンではバギオ市およびタクロバン市とその周辺、モンゴルではバガノール地区、日本では大館市におけるインフルエンザのデータ収集を行った。それとともにこれまで蓄積された疫学情報・ウイルスの遺伝子情報の解析を進めた。またバギオ市においてはより正確なインフルエンザの疾病負荷の推計を行うために受診行動についての調査をおこなった。これらの解析の結果、以下のような新たな知見が得られた。 1)地域でのインフルエンザウイルスの伝播には学童・幼稚園児に相当する年齢層でのウイルスの伝播が重要な役割を果たしている 2)地域内でのインフルエンザの伝播には前シーズンの感染による集団免疫も大きな影響を与えている 3)熱帯であるフィリピンにおいてはインフルエンザウイルスは1年を通して流行しているが、遺伝子解析からウイルスが地域に定着しているのではなく、常に多くのウイルスが流入することにより流行が維持されている可能性が高い 4)これまでの医療機関をベースにしたインフルエンザサーベイランスでは受診行動によるバイアスがあることから正確なインフルエンザの疾病負荷を推計するためには受診行動の解析が必須である 5)途上国ではインフルエンザ様疾患での受診者は乳幼児が大半を占めており、この年代ではRSウイルスの影響が強く、また熱帯地域ではインフルエンザが年間を通して見られることから、このような状況でインフルエンザをモニタリングするためには新たなサーベイランスの方法論を確立することが必要である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果はすでに査読有の国際学術誌に論文として発表してきている。また、フィリピン・モンゴル・日本という社会的背景や気候の大きく異なる地域で同時に解析を行ってきたことから、これまでに明らかになっていなかったウイルスの伝播や進化過程について重要な知見が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は最終年度にあたることから、一部のサイトでは研究を継続するものの、基本的にはこれまで得られたデータを解析し、アジアでのインフルエンザの伝播・ウイルス進化についての知見を最終的にまとめていく。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Influenza and other respiratory viruses detected by influenza-like illness surveillance in Leyte Island, the Philippines, 2010-20132015
Author(s)
Otomaru H, Kamigaki T, Tamaki R, Opinion J, Santo A, Daya E, Okamoto M, Saito M, Tallo V, Lupisan S, Suzuki A, Oshitani H
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Journal Title
PLoS One
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] School closures during the 2009 influenza pandemic: national and local experiences.2014
Author(s)
Cauchemez S, Van Kerkhove MD, Archer BN, Cetron M, Cowling BJ, Grove P, Hunt D, Kojouharova M, Kon P, Ungchusak K, Oshitani H, Pugliese A, Rizzo C, Saour G, Sunagawa T, Uzicanin A, Wachtel C, Weisfuse I, Yu H, Nicoll A.
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Journal Title
BMC Infect Dis.
Volume: 14
Pages: 1
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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