2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24249046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 晴彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30177117)
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40245478)
佐藤 俊朗 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70365245)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 幹細胞 / 大腸癌 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎は主に若年者に発症する原因不明の慢性炎症性腸疾患である.潰瘍性大腸炎罹患患者の数の増加と高齢化に伴い,潰瘍性大腸炎関連大腸癌が増加傾向にある.また,長期の炎症に伴う異形上皮を発癌母地とし,化学療法にきわめて抵抗性を示し,その予後の悪さが問題となっている.潰瘍性大腸炎関連大腸癌はp53遺伝子変異による異形成上皮から発生することが分かっているが,その希少性,また研究に使用できる臨床検体が限られているため,p53変異異形成上皮からの発癌機構は解明されていない.我々は,最近開発されたヒト腸管上皮幹細胞培養技術を用い,腸管上皮細胞を体外で増幅することを可能とした.本技術を用い,同意の得られた潰瘍性大腸炎関連大腸癌を有する潰瘍性大腸炎患者から病変部と正常粘膜から生検を行い,培養に成功した.培養により増幅された細胞からDNAを抽出し,次世代シークエンサーとマイクロアレイによる包括的な遺伝子異常解析を試みている. また,炎症性サイトカインによる培養大腸上皮細胞を用いた発がん機構の研究が進行中であり,潰瘍性大腸炎で発現が上昇しているサイトカインの内,上皮細胞に対してDNAダメージを与えるサイトカイン群が同定されつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
潰瘍性大腸炎関連大腸癌および異形成上皮を有する患者より内視鏡生検組織からオルガノイドを2例樹立した.疾患の希少性から,さらなる症例の蓄積が必要であるが,世界で初めて潰瘍性大腸炎関連癌の培養オルガノイドを樹立した. また,潰瘍性大腸炎粘膜で上昇しているサイトカインをマイクロアレイにより解析し,10種類の候補サイトカインをスクリーニングし,培養上皮オルガノイドに対するDNA傷害作用ならびに幹細胞傷害作用が確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,さらなる潰瘍性大腸炎関連大腸癌のオルガノイド樹立数を増加させ,次世代シークセンスによる網羅的遺伝子変異解析を行う.また,in vitroでのサイトカインによる潰瘍性大腸炎発がんモデルを構築していきたい. 本研究の推進により,潰瘍性大腸炎関連大腸癌の原因や発症メカニズムを解明できることが期待でき,新しい予防方法や治療方法につなげていきたい.
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Research Products
(6 results)