2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍T細胞を利用した口腔癌の早期診断法およびオーダーメイド免疫療法の開発
Project/Area Number |
24249091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊嶋 健史 九州大学, 大学病院, 助教 (20546569)
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
山田 亮 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50158177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌ペプチド / T細胞 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
RCAS1 (receptor-binding caner antigen expressed on SiSo cells) は子宮腺癌由来細胞株SiSoに発現する癌関連抗原として同定され、癌細胞の膜表面に発現したRCAS1が活性化したリンパ球などのアポトーシスを誘導し、免疫監視機構からの逃避に関与することが報告されている。またectodomain shedding 機構により、細胞外に分泌されるRCAS1も存在することが報告されている。そこで今回われわれは、口腔扁平上皮癌 ( OSCC ) 由来細胞株におけるRCAS1の発現様式と機能について検討を行った。OSCC 由来細胞株HSC-2、-3、SQUU-A、-Bを用いて、RCAS1遺伝子の発現をRT-PCR法にて検索した。膜型RCAS1の発現については免疫細胞化学的染色とFlow cytometryにて、分泌型RCAS1については各細胞株の培養上清中の発現をDot blot法とELISA法にて検索した。またアポトーシス誘導能については、各細胞株とRCAS1受容体をもつ赤白血病由来細胞株 K562 との共培養を行い、Flow cytometry にて解析した。全細胞株においてRCAS1 mRNAの発現が認められた。膜型RCAS1は、高転移株SQUU-Bにおいて、他の3種の細胞株より有意に強発現していた。また分泌型RCAS1の発現は、全細胞株の培養上清においてみられ、SQUU-Bにおいて特に強かった。さらに全細胞株との共培養において、K562のアポトーシスが誘導された。これらの結果より、OSCC由来細胞株において、膜型および分泌型RCAS1の発現が認められた。またRCAS1のK562に対するアポトーシス誘導能が認められたことを併せると、OSCCにおいてもRCAS1が生体内の免疫監視機構からの逃避に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究成果の一部は、Cancer letter に掲載され、世界的にも注目されている。癌ペプチドを用いた新しい治療法の開発を目指していく中で、今年度の研究成果は期待通りのものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
<口腔癌が発現する癌ペプチドに反応するT細胞の同定(中村・山田が担当)> 癌ペプチドに反応するT細胞を同定する方法としては、以下の3つを行う。口腔癌ならびに白板症や紅板症などの前癌病変に罹患しているHLA-A24陽性患者を対象とし、検討する癌ペプチドとしては、1)の研究で同定されたものに加えて、すでに細胞傷害性T細胞(CTL)が認識する癌ペプチドとして報告されているSART-1、SART-2、SART-3、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、survivin-2B、URLC10、TTK、WT1、lck、cyclophilin B、ART4、HSP105を用いる。in vitroでのCTL誘導能による同定:末梢血単核球を採取し、種々の癌関連抗原ペプチドとIL-2を加えて3週間培養し、癌関連抗原ペプチドを加えた以上のように、個々の患者で癌ペプチドの発現とそれに対する免疫応答の強さを評価する。また、口腔癌の場合は分化度や組織学的悪性度との関連を、前癌病変の場合は上皮性異形成の程度との関連を調べる。 <口腔癌による免疫監視機構の調節分子の発現解析(吉田・豊嶋が担当)> 癌細胞が発現している可能性のあるT細胞調節分子としては、HLA class I およびII 分子、B7ファミリー分子、接着分子、T細胞のアポトーシスを誘導するRCAS1 があるが、免疫組織学的染色とin situ hybridization 法によりそれらの発現量を検討する。E-Bウイルスで不死化したB細胞株に対するCTL活性を測定する。また、HLA-A24と癌ペプチドのテトラマー・デキストラマーによるT細胞の同定:HLA-A24と抗原ペプチド複合体をビオチン・ストレプトアビジン法で4量体化したテトラマーあるいはデキストラマーを作製し、フローサイトメトリーを用いて癌ペプチドを認識するT細胞の頻度を検討する。
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Research Products
(2 results)